時間と距離を超えて8

【進もっか】4　★ ページ15

「帰りにどこか寄ってもいいな。」

またサービスエリアでもいい。Aに任せれば、何か楽しいプランを考えてくれるだろう。

真新しくメイクされたベッドにもぐりこむ。
2つあるって言ったけど、使って良いとは言ってないから。

やましい気持ちもなきにしもあらずだけど、まだ怪我の痕が残ってるだろうしな。
まぁそこは我慢するとして…。

ショーが始まるまでは最悪だった気分も、努力と工夫と成り行きで、結果的には持ち直しそうだ。
田中にも特にばれてなさそうだし。

「天然ぽいもんな、アイツ。」

俺とAが付き合ってるなんて、微塵も思ってなさそう(笑)

布団の中で踊り出しそうになって、我に帰る。
やばいやばい、恥ずかしい。あと一日ショーも残っているので、早目に寝ようかな。

いつもの枕を整えて、照明を落とした。





今日のトリは地元ということもあって、俺が努めさせてもらえる。
引退したけど、まだまだ滑れるっていうのをみんなに見せたくて、演目はフリープログラムの中から選んだ。

「そろそろ新しいショーのプログラム作らなきゃ。」

引退してからいくつかショーのプログラムを作ったけど、まだまだプロスケーターとしてやっていくのなら、いつまでも過去のプログラムばかり披露するわけにもいかない。

一度海外行かなきゃ。
ジェフリーかシェイリーンか…とにかく新しいことやりたい。

「あ、A連れて行こうかな(笑)」

仕事休ませたら怒るか。
でも旅行気分で楽しいかも、俺より英語出来るし(笑)

「羽生さん、次出番お願いします。」

一人で妄想していたらスタッフの人が呼びに来た。
今行きますと返事をして、リンクに向かった。

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