時間と距離を超えて8

【進もっか】2　★ ページ13

★ゆづサイド

さすがに２日連続昌磨を巻き込むのはかわいそうなので、今日は部屋で一人ゲームをする。

昨日より、幾分気持ちも落ち着いた。
田中がどんなにAのそばにいようと、Aは俺しか好きじゃないって充分わかったし。

かわいかったな、A。思い出して顔がにやける。
偶然廊下で会えて本当によかった。

「あ、電話しようと思ってたんだ。」

この時間ならもうホテルに戻っているだろう。
ゲームの画面を閉じて、iPhoneを取り出す。

するとタイミングよく着信音が鳴った。
Aだ。

まさか同じこと考えてたとか？ふふ、気が合う(笑)
俺はご機嫌で通話ボタンを押した。

「もしもし？」

『ゆづ？あのさ。』

あれ？なんか怒ってんな。

「うん、どした？」

俺はあくまでも明るく返事をする。

『首のやつ、困るんだけど？！』

首の？…あぁ！そうだった、キスマーク！

「あれな！いやいや、Aに変な虫が寄って来ないようにだな(笑)」

これは長丁場になりそうだなと思い、ベッドに座り直す。

『何それ！そんなの寄ってこないし。それより明日からどうしてくれるのよ、ネックウォーマーはずせないんだけど？』

「はずさなきゃいいじゃん(笑)」

会場寒いし、誰も不思議に思わない。

『会場は百歩譲っていいよ。でも帰りどうすんの？右の首筋だから、運転してる田中君側から絶対見えるし。』

あ、Aは明日帰るのか。

「ネックウォーマーしてれば？」

風邪気味で喉が痛いとかなんとか適当にごまかせばいけるだろ。

『暑いよ！まだ残暑厳しい季節なのに、ネックウォーマーなんてしてたらばかだと思われる！』

「じゃあ髪をおろして隠すとか。」

『風が吹いたら終わる。』

それもそうか…。
う〜ん、どうしよっかな〜。

「そもそも田中と一緒に帰らなきゃいいんじゃない？」

『え…？』

ショーが終われば仕事も終わる。
帰りまで面倒見ることないだろ。

「そうしなよ。」

適当に理由つけて断ればいい。
子供じゃないんだ、田中だって一人で帰れる。

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