時間と距離を超えて7

【あぁそうですか】7　★ ページ25

「余分に買ったの。ゆづにもありがとうだよ。」

そう言いながら、またソファーの右側に座る。

「お礼なら有り難くいただこうかな〜。」

早速ピンク色のを口に入れる。
グランベリーだ。甘酸っぱくて美味い。

「ねぇゆづ。私、少しは料理上手くなった？」

Aはこの１ヶ月、のんびりゆっくりだけど、たまにご飯を作ってくれた。

「うん、玉子焼なんてかなりレベルアップしたんじゃない？」

甘い味付けの、ちょっと形がいびつなやつ。

「家に帰ったら少しお母さんに教えてもらうよ。」

何が食べたい？と聞くので、そうだな〜と腕を組んで考える。
あ、いいこと思いついた！

「蕎麦かな。」

コーヒーを一口飲む。

「蕎麦？茹でるだけの？」

「うん、年越し蕎麦が食べたい！」

意味分かる？A。

「それは大晦日に食べるやつだよね？」

「もちろん。」

だからさ、ほら。

「それって…ここで？」

「ここで。」

「じゃあ、紅白見ながら？」

「あ、それいいな！大晦日は紅白見ながら年越し蕎麦をたべるのに決定だな。」

「かなり先だけど(笑)」

「それまで料理の練習できるでしょ。」

やった。これで大晦日も一緒に過ごせる。
普通に誘っても来てくれそうだけど、Aの作った蕎麦を食べるという目的があるのと無いのとでは、楽しみが倍違う。

「じゃあついでに初詣も！」

「初詣？！」

久しぶりに来たな。連れ出される俺(笑)
ま、地元だからいいか。

「ばれないように夜中に行こうよ。」

「年が明けてすぐってこと？」

「そうそう。」

なるほど。それならちょっと厚着したら問題なさそうだ。

「てことは、ショーにグランプリシリーズにファイナル、全日本…で、年越しして初詣。イベントだらけだな(笑)」

「あっという間に今年も終わりそうだね。」

全部Aと過ごせるんだな…。

「楽しみだな。」

俺はそっとAの肩を抱き寄せた。

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