【想定内】10 ★ ページ39
★ゆづサイド
その後、Aのご両親をエレベーターまで見送って再び病室へ戻ると、Aが放心状態で一点を見つめていた。
「名古屋土産のきしめんパイ、お父さん達にあげたから。…何見てるの？(笑)」
「…布団。」
謎の行動だな…。
そりゃいきなり結婚とか言ったら驚くか。自分でも飛躍しすぎだとは思う。
「A、お父さん達にはああ言ったけど、重く考えなくていいから。」
ベッドに腰掛けて、近くへ寄る。
「…？」
「とりあえず結婚はまだまだ先の話だよ。」
「…あんなにはっきり宣言しといて？」
お互いの両親を信用させておくに越したことはないだろう。
それに今回は、周りを味方につけて俺のペースに持って行くという、いわば信頼回復作戦の一貫だ。…言わないけど。
「お前が俺を信じないから。…これでも一時的な気の迷いだと思ってる？」
「ちょっと思ってる…。」
まだだめか。
まぁまだ序盤だし、これからどんどんAを追い込んでいこう。
「じゃあ俺のこと好き？」
自分の気持ちなら素直に言ってくれるかな、と期待して尋ねる。
「…好き。」
よし！
俺はAとの距離を少しつめた。
「じゃあ…キスしてもいい？」
「え？」
小さな声でささやくように…、俺から問いかける。
驚いてる？でも、あからさまに拒んでしまったあの日から、もう随分経ってしまったから…。
せめて、今からでもやり直したかった。
「俺からしたいんだ。」
俺はAの傷付いた右頬をそっとなでて、髪をかきあげる。
抵抗しないのをいいことに、そのまま優しく首の後ろに手を回して、顔を近づけた。
そして。
今までとは全く違うキスをする。
挨拶でもなく、ましてや誰かの代わりでもない、俺からの気持ちを全部込めたキス。
これでやっと一歩進んだかもしれないな、と思いながら、一度角度を変えて、浅く優しくついばんでいく。
そして、そっと顔を離したら、不意にそのままAの両手で捕まえられて…。
「A？」
今度はAからキスされた。
ほんの数秒、唇を合わせるだけのキス。
だけど、それがAの本心のような気がして。
今はこれが精一杯だけど、いつか心も身体も俺のものになる日が来ればいいな、と願わずにはいられなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» もともとタイトルつけるの苦手で…。でも内容のわかるタイトルにしたいなって思っているので、ストレートにしています＾＾ ライストははなからあきらめて、朝一で動画サイトでみました〜。おしいなあ〜！悔しそうな本人が目に浮かびますね！ (2016年12月9日 16時) (
レス) id: faba53eee1 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 羽生さんデレ期で、あんまりつまらないかなーと思っている今日この頃です＾＾； 主人公もいまいちはっきりしないので、読んでいてもやもやするかと思いますが、もう少しお付き合いください！どっちの羽生さんもがんばれ！ (2016年12月9日 16時) (レス) id: faba53eee1 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 智枝さん» レノアのCM見てから、羽生さんのにおいが気になってしかたありません（笑）どこかの記者の方がそんな記事を書かないかなーとひそかに期待しているのですが・・・誰か教えてーー！羽生さんのにおいどんなん？汗っかきだからどんなん？ (2016年12月9日 16時) (レス) id: faba53eee1 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みちさん» ファイナル記念に更新しました^^記録更新はならなかったですが、今朝動画をみましたよ。今夜他の選手も見ながら観戦したいです＾＾優勝したら調子に乗ってまた更新かな？でも次は移行ですね！ (2016年12月9日 15時) (レス) id: faba53eee1 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 蹴り入れたい、というサブタイトル（笑） いよいよドキドキの同棲、じゃなくて同居（まだ看病のうちはね）が始まりましたね！ GPファイナルも始まりました！せっかく早起きしてライスト観戦していたのに、ゆづの前から固まる固まる。まともに見られんかった（泣） (2016年12月9日 6時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2016年11月24日 16時
