【誕生日後編】1 ☆ ページ11
☆主人公サイド
ゆづの家に着いた頃には、すでに10時をかなり回っていた。
暑い！と言ってすぐにエアコンのスイッチを入れるゆづ。
本当に暑がりだ。
「お腹空いた…。A、手伝ってよ。そこのカレー温めて。」
そこ？そこって？
「え、どこにあるの？」
テーブルをみてもコンビニの袋がない。
「そこの鍋に入ってるやつ(笑)」
何きょろきょろしてんだよ、と言われて急いで鍋を探す。
鍋…ってことはキッチン？
コンロを見ると、小さな鍋がぽつんと置いてあった。
蓋を開けてみると…カレーだ。
「…え、これゆづが作ったの？」
中にはどうみても手作り感漂うカレーが入っている。
「そ。有り難く喰えよ？」
棚からお皿を出しながらゆづが嬉しそうに笑っている。
「ゆづ料理出来るんだ！…すごい。」
「久しぶりに作ったわ〜。お前知ってる？野菜ってばらばらに売ってるんだぜ？」
一個から買える！と自信満々に教えてくれる。
…知らなかった。普段料理なんてしたことがないから、袋詰めされてる野菜しか見たことない。
それにしても…私の誕生日に、こんな準備をしてくれてたなんて。
私はと言えば、ニュースを信じ込んで、ゆづの言葉を聞こうともしなかったのに。
今日を台無しにしたのは全部私自身の弱さだったんだな、と改めて思う。
そうしてしばらくカレーを温めていたら、あれ？と思う。
「ゆづ？このカレー、じゃがいもが入ってなくない？」
やけにさらさらしてる。
「俺じゃがいもが入ってるとそれだけでお腹いっぱいになるんだよ。だから入れてない。」
「そうなんだ。確かにコンビニのはさらっとしてて食べやすいかも。」
アレンジまでするんだ…と感心してしまう。
「じゃあこの白っぽいのは？」
「その代わりにマッシュルーム入れてみた。」
わぁ、美味しそう…。
話を聞いてるだけでお腹が空いてくる。
キッチンにだんだんいいにおいが漂ってきた。
「もう温まったかな、ゆづご飯は？」
「あ、これ。」
差し出されたお皿にご飯がちょこんと乗っている。
丸い形がかわいい。
「わざわざ型にいれたの？(笑)」
「せっかくだからかわいくしたいじゃん。」
マメだ。と言うか女子だ。でもこういうの嫌いじゃない。
私はきれいに見えるように、周りにカレーをよそった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» 今回のゆづはとにかく優しい一面を書きたいなって思っているので、無理やりとか絶対ないです＾＾ 主人公もいろいろきにしちゃうタイプなので・・・。平和にいきたいです。 (2016年11月6日 7時) (
レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みちさん» ゆづ大人ですからね＾＾ でも好きだからつかづ離れずみたいな・・・。今回はもやもや感満載のお話になりそうです。できるだけ引っ張りたいなあ〜〜 (2016年11月6日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - まだまだくっつかないで欲しいけど、両想いが明らかになってからも、すんなりはいかなそうだな、と妄想してしまいました。主人公ちゃんは積極的なわりに怖がってなかなかそういうことに至らない、とかね。ゆづだって無理にはしたくないだろうしね。 (2016年11月6日 0時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - 想像したら顔がにやけちゃうほど、主人公ちゃんの行動がすごくて、これからゆづはどんな風に接して行くんだろう。きっと簡単には進展しない様にがんばるんでしょうね！ (2016年11月5日 20時) (レス) id: e8907b1922 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - なむさん» 縮まる時は一気ですね。普通ならありえないシチュエーション満載ですので、どうぞお楽しみに（笑） ちょっと女々しいゆづですので、まだまだ乙女要素でてくるかなあ〜？ (2016年11月5日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2016年10月27日 16時
