お出迎え ページ9
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仕事が終わって外に出れば、完全に冬を感じる寒さに身震いする。なんだよ、突然寒くなるじゃんかよ。そんなことを心の中で思いながら、自宅まで足早に歩いて。
今日は確かAが明日ゆっくりだから、俺の家で待ってるなんて言っていたな、もう着いてんのかな、なんて思って玄関を開ければ灯りがついている。
リビングまで行けば、キッチンに立っている彼女がいて。
『良平さん、おかえり〜』
「ただいま。何か作ってくれてんの?」
『今日はね、鍋だよ』
「あ〜、いいわ、外めっちゃ寒い」
上着を脱いで、鍋に向かっている彼女に後ろから抱きつく。あったか、うまそ。
『わ、良平さん冷た、』
「帰ってきたばっかだからね、」
『今日何か一気に冬だよね』
「な、ほんとに」
『………体温奪われてる気がする』
「奪ってるもん、あー、Aあったけー」
『もうできるよ、コンロ出す?』
「ん、せっかくだし」
『出してよ』
「もーちょい待って」
まだ抱きついていたくて、そのまま彼女の首元に顔を乗せる。冷たかったのか、びくっ、と震えるAに笑って。
「ふは、冷たかった?」
『うん、ほんと冷たい』
「とか言って、手も重ねてくれて、やーさし」
『良平さんが温まらないと、ごはん食べれなさそうだし』
「素直じゃないじゃーん?」
『ふふ、何でそんな楽しそうなの?』
「えー、彼女がご飯作って待っててくれたから、?」
『良平さん素直だ、かわいい(笑)』
「可愛いは余計〜」
『ね、食べよ?コンロ出してよー』
そう言って俺の腕の中で、もぞもぞ動く彼女を仕方なく離してあげて。俺も大人しく晩ごはんの準備でもしますかね。
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時