いつまでも甘え上手な【木村良平】 (ページ35)

今日:8 hit、昨日:51 hit、合計:196,558 hit

思わぬ展開ページ35

.

収録終わりスタジオの中を歩いていれば、目の前から見知った顔が歩いてきて、立ち止まる。

『かっきーさん。お疲れ様です。』

「お疲れ様。音瀬、今終わり？」

『そうです。次の現場行くところで』

「お前さ、いつ結婚すんの？」

『は？(笑)かっきーさん、知ってますか？それ、今時セクハラになるんですよ(笑)』

「元カレでも？」

『ちょっと！誰が聞いてるか分かんない場所で何言ってんの』

「あははっ、敬語抜けてる(笑)」

『変なこと言うからですよ』

「Aさ、俺と結婚する？」

『ふざけないでくださいよ(笑)今付き合ってる人いますー』

「良平？」

『………え、何で知ってんの』

「風の噂？(笑)」

してやったりな顔して、笑われて手のひらを頭に乗せられる。

『わ、手冷たい』

「さっき来たばっかだからね」

『ねえ！(笑)ぐしゃぐしゃにしないで(笑)』

「ははっ、ねえ」

『ん？』

「俺は割と本気よ」

『え、あ、え、？』

「待てなくなったら、俺んとこおいで」

そう言って軽く撫でて、去って行くのを、後ろを振り向けずに、ただ立ち尽くしてしまって。今更、そんなこと言われるなんて、思わなかった。

掻き乱されてしまった心に、盛大にため息が出てしまって、切り替えなきゃと思って角を曲がれば。

『………っ、わっ、』

壁に寄りかかった良平さんが、こちらを向いていて。これは、完全にしばらくここにいたってこと、では、ないだろうか。

『りょ、へ、さん』

「1番聞いちゃいけない人が聞いた？」

『………えっ、と』

この空気のまま、私はどうしたらいいのか分からなくなってしまって、ごめん、なんて逃げるようにその場から去った。

.