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k 「………わり、遅くなった………って、何この雰囲気？」
y 「あ、良平くんおつかれ。ちょっと、ね(笑)」
『……ごめん、先帰る』
k「は？え、ちょっと待って、なに」
『ごめん、連絡する』
k「夜危ないから、一緒に帰ろうよ」
『………タクシーで帰るよ。大丈夫』
そう言って、店を1人で出て。宣言通りタクシーをすぐ捕まえて、まっすぐ家に帰った。
良平さんが来るまでの数十分。なんとか、代永さんが間に入ってくれて話が持っていたけれど、ずっと私の頭の中はあの時の江口の表情が占めていて。
あれから、どれくらい時間が経ったのか分からない。ソファでうずくまって何もまとまらない考えを何周もさせて。ふと周りの物音で顔をあげる。
『…………良平さん、なんで、』
「あんなの、来ないわけないじゃん」
『…………ごめん、今は1人がいい』
そう言って再び抱えてた膝に顔を埋めれば、目の前に良平さんがしゃがみ込んで、顔を上げさせられる。優しく微笑んだ顔で、私の頬に触れて。
「……俺のこと考えられないくらい、えぐで頭いっぱい？」
『………っ、』
「ごめん、余計混乱させた？そりゃ別の男のことずっと考えてるのは、ちょっと妬いちゃうけど」
『………………』
「でもその気持ち抑えて、ただのお兄さんになってあげるから、話しな、思ってること」
『…………へ、』
「話さないとAもどうしようも、できないでしょ？」
『………えぐから、聞いたの』
「今日のこと？なんとなくね」
『えぐ、はさあ、もしかして私のこと、』
「…………好きなのかなあって？」
『………自惚れ、？かな、』
「どうだろうね。Aはでもそんなに悩むくらい、確信してるんでしょ」
『……そんな気が、して』
「うん、それで？」
『そうだとしたら、わたし、ずっと』
「うん、」
『えぐのこと、っ、傷つけてたっ、のかなあっ、』
改めて言葉にすれば、涙が溢れてくる。大事に思っていた後輩を傷つけて、先輩としても仲間としても失格だ。
「………それはさ、えぐに聞いてみないと分かんないじゃん」
『っ、でもっ』
「俺は傷付いてたとは、思わないけどな」
『………………』
「落ち着いたらちゃんと、えぐと話しておいで」
『…………うん』
良平さんはそのまま泣き続ける私の頭を撫でて、泣き終わるまで待ってくれた。
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作者名：シカク | 作成日時：2021年12月1日 20時
