混乱 ページ20
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仕事終わり、たまたま現場が一緒だった代永さんに声をかけられる。
「おとちゃん!この後空いてる?」
『空いてますよ…?』
「江口くんと呑みに行く約束してるんだけど、行かない?」
『行きます!』
途中で、江口と合流して3人でお店に入る。一応良平くんにも声かけてるんだー、なんて言う代永さんに、私邪魔じゃないですか?なんて、言えば、そんなことあるわけないでしょ!と全力で否定された。
良平さんは来るらしいけど、まだ少しかかるらしい。3人共いい感じにお酒がまわったころ、話もだんだんと深くなっていく。
『えー、代永さんの娘さんほんとかわいい!』
y 「ふふ、でしょー?」
『いいなあ、私も子供欲しい』
y 「その前に結婚ね?」
『ねー(笑)』
y 「なに、もう割と長いでしょ?」
『そうなんですけどねー、考えてないのかもしれないですねー、もしかしたら(笑)誰か、貰ってくれないかなあ(笑)』
半分くらい冗談が混じった状態で、グラスに入った液体の残りを流し込んで、ぱっと顔をあげれば、目の前の江口と目があって。
『………ん?』
e 「ん?(笑)俺がもらってあげましょーか?」
『えー、ほんとに?(笑)もらってくれるの?』
e 「むしろ貰われてくれるんですか(笑)」
『えー、やったあ(笑)』
y 「おーとーちゃん、そんな約束したら良平くん怒るよ?」
『えー、どうですかね(笑)』
e 「そんなこと言って、おとちゃん、良平さんのこと大好きでしょ」
『えー?ふふ、でもえぐが、、え、?』
少し度が過ぎてしまってたかもな、なんてこの時思っても遅くて、もう一度目があった江口が、表情は笑ってるくせに、目は悲しそうな目をしていて。
こんな時、もしかしてなんて察してしまいそうな自分が嫌になる。でも、私は自分の行動を止められなくて、その悲しそうな顔をどうにかしたくて、頬に触れる。
e 「……っ、なんですか、」
『なんで、なんで、そんな悲しそうな、顔、してるの?』
e 「っ、してないですよ、そんな」
『えぐ、もしかして、私ずっと、、えぐのこと、』
e 「っ、何も、何もおとちゃんは悪くない。何か察しても言わないで」
『………っ、』
e 「ふは、なんでおとちゃんが悲しそうな顔してるの」
もしかしたら、ずっと私は、無意識に江口のことを傷つけていたのかもしれない、そう思ってしまったら、どうしようも出来なくて。
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時