ミルクとスフレと【石川界人】

久しぶりに過ごす朝 ページ2

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カーテンの隙間から自然と差し込む光を、ゆっくりと感じて目を開ける。見慣れた自分の家ではない部屋と、背中から感じる温もり。その温もりの方へ方向転換させれば、まだ寝息をたてる彼の姿。



『……………かーいと、』

「……………」

『……ふふ、起きよ』



静かに名前を呼んでみたって起きない彼は、まだ夢の中のようで。独り言のように呟いて起きあがろうとした時、後ろから引っ張られて腰に手が回ってきた。



『うわっ、え、界人？』

「……………おはよ、」

『おはよ。今日昼からでしょ？まだ寝てて良いよ』

「………ん、Aもう出るんだっけ」

『まだ。お昼前には出るけど。ねえ、朝食べる？食べるなら一緒につくる、っ、』

「んん、あとで。まだいーじゃん、ここいてよ」

『っ、耳元で喋んないで、』

「ふっ、なんで？」

『ーーーーーっ、なんでも！』



地声が低いくせに、寝起きだと余計に声がかすれていて。最後の問いかけだって絶対わざとやってる。背中から笑ってる声聞こえるし。彼の腕の中で彼の方に向き直せば、完全に起きた彼と目があう。



「なに、そんな顔して」

『いじわる』

「なーんでよ。いいでしょ、昨日だって結局お互い帰ってきたの遅かったし」

『そうだけど、』

「朝の数時間くらい、」

『………くらい？』

「こうしてるのもよくない？」

『…………ん、』



覗き込むように近付く顔に、そうだね、なんて意味の返事を発して彼の胸に顔を埋めた。







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