視界に暗幕、恋は横着 (ページ2)

今日:12 hit、昨日:11 hit、合計:10,370 hit

同期が世界で一番輝いて見える話。ページ2

【隣の一番星】 東京23期/高比良

　背中ばかりを見ていた気がする。
　宙を舞う紙吹雪と驚きを隠せていない同期のコメントからパッと画面が切り替わり、売れっ子の先輩がMCを務める次の番組の放送が始まった。私はそれをぼうっと眺めながら、さっきまでそこにあった同期の優勝に思いを馳せる。
　明星みたいな、あるいは悪魔のような、そんな奴らだと思う。
「優勝しちゃったなー……」
　それは勿論喜ばしいことだった。でも、今まで見て見ぬふりをしていた彼らと私たちの差というものをハッキリと見せられた気がして、もうお前には追いつけない存在になったんだと言われた気がして、どうしても素直に喜べない。遠くに行ってしまった、ファンの間で有名になるのをそう表現することがあるらしいが、今はまさにその言葉を借りるのが正しいような気がした。

　高比良はすごいやつだと思う。研究熱心で、努力家で、漫才への熱がまっすぐで強烈で。
　同期なのに、背中しか見えなかった。

「うん。ケムリには言ったんでしょ、おめでとうって」

「ねぇ、お願い。俺らの、俺のこと、Aの遠くに置かないで」

「好きだよ、Aのこと」

＿＿＿
全編はTwitterアカウント(@shibugaki_teatm)よりご覧いただけます。