*俺の拙い推理。 ページ6
.
壁から背を離したとき、凛と響く声に呼び止められた。
振り向くと、肩までのショコラブラウンの髪を持つ、大人しそうな女子が俺を見ていた。
『……何ですか?』
少し微笑むと、芯の強そうな瞳をこちらに向け、先程よりも大きい声で彼女は言った。
「今日が始めての人ですよね。事務室なら、この先の左手前にありますよ。」
『えっ、そんなんですか!?ありがとうございます!』
思わぬ助けに目を見開く。
お礼を言うと、彼女はほんのりと笑みを浮かべて、その場から立ち去った。
その姿を見て、俺は納得する。
少し前に俺は、女子に話しかけると騒がれるか嫌な顔をされるかのどちらかの反応をされる、と言った。
彼女は多分、嫌な顔をするタイプの人間だ。
いや、嫌な顔、とまではいかないが、困り顔くらいはするんだろう。
なぜかと言うと、そのタイプの人間は目立つことを好まないから。
俺みたいなイケメン(^ω^)が話しかければ、目立つことは目に見えている。
彼女がすぐに立ち去ったのは、俺らに始終向けられていた好奇の目線のせいだ。
それほどまでに目立つことが苦手なのに、一度も見たことのない俺が新しい生徒で、事務室が見つけられなくて困っていると理解し、助けてくれた彼女は、善良で、そしてきっと優秀な人。
事務室に足を運びながらそこまで考えて、うぅん、と頭を悩ませる。
もう一度丁寧にお礼を言いたいけど彼女の名前もクラスも聞いてないし、この建物広すぎて、偶然会うなんてことまず無いだろうし。
くそ、広すぎるこの建物に恨みが募っていく。
開設にどれだけ資金かかったんだろ。
ま、いいや。
会えたらお礼言うってことで。
出来れば、彼女に申し訳ないし、もう話しかけたくはないんだけど。
お礼言うくらいならいいだろ。
お、事務室発見。
*何度目の溜め息だろう。→←*俺の容姿が目立つことは充分理解してる。
78人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モシャア - めちゃ面白い!大好きです! (2021年9月17日 16時) (レス) id: f7eb6a98f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kyuraso - 続き出してください〜 気になる! (2021年8月22日 9時) (レス) id: 6c73657afc (このIDを非表示/違反報告)
シルクロック - 続きが気になります・・・! (2021年7月9日 21時) (レス) id: c954b48120 (このIDを非表示/違反報告)
あ に す . ? ?(プロフ) - お、終わり…?(´;ω;`)ウッ… (2021年5月20日 17時) (レス) id: 4db45bcbc3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいなー(プロフ) - はくあさん» ありがとうございます〜!4月からずっと忙しすぎてヤバい(語彙力)んですが、何とか更新出来るよう頑張ります... (2020年7月28日 15時) (レス) id: df2fd3c063 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆいなー | 作成日時:2019年9月6日 23時