NM ページ28
彼女の手首の痣を見て、胸がざわついた。
綺麗な、細い、白い肌に浮かんだ
青いその痣は、あまりにも俺の目には目立って見えて
保健室に行って、キチンと保健の先生から
湿布貼って、包帯巻いてもらって、綺麗にしてもらえば良かったんだけど
何故か、俺が、そうしてあげたかった。
わかってる、俺の立場と、君の立場は違う。
いくら君が、俺の事を気にしていても
いくら俺が、君のことを気にしていても
この学校という場所では、どうしたって交われない。
でも、こうして触れるのは
許して貰えるんだろうか
咄嗟に掴んだ手首は、俺の指が回ってしまうくらい細くて
折ってしまうんじゃないかってヒヤヒヤした。
慎重そうに見えるけど、同じ先生たちの中での俺のあだ名は破壊神だからね。
何かしら無くしたり、壊したりを繰り返して
最近はそれをネタにされることが多い。
壊れ物を扱うかのように、彼女の手首を持って
自分の倉庫にまた戻って、椅子に座るよう促すと
素直にちょこんと座っていた。
身長が高い俺から見れば、彼女の体は小さくて
手首見せてって言うと
少し驚いたように俺を見上げるAさん
何もしないから、って保険みたいなの自分でかけて
自分のデスクの引き出し漁って、残ってた湿布取り出した
ひんやりとした湿布を、包帯で取れないように巻いてゆく。
そしたら彼女が
『先生、何があったか、聞かないんですね』
て、ふわっと笑いながら言った。
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作者名:uri | 作成日時:2023年5月17日 0時