うさぎに拾われました

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「いやぁ、この辺りでしたら家賃がどうしても高くなってしまいますよ〜。どこも今日今から入居できる所がなくて…」




元彼に、すぐにでも出ていってほしい。と言われ心神喪失の私は駄々をこねる訳でもなく黙って頷いた。



いま思えばどうして私が浮気された側なのに貴方に従わなきゃいけないのか。意味がわからなかったけれど浮気をしていた男となんて、しかも浮気相手と寝たであろうベッドで寝るのも吐き気がした。




すぐにでも出ていきたかったので、不動産屋に駆け込む。




どこへ行っても同じような返答ばかり。



私の今の給料で払っていけるような所があまり見つからない。





『そう、ですか･･･ありがとうございます。ちょっと考えてみます』




提示されるのは、シェアハウスのようなランドリーなとが共有だったり築数十年のリフォームしてないボロアパートだったり。




わがままは言ってられないけれど、私にもそれなりにこましな所に住みたいという願望もある。




仕方ない、しばらくネットカフェでも使うか。





身の回りのものだけキャリーケースに詰め込んで、私は家を出た。



ふと玄関を見るとあの時に男の人に借りたビニール傘が目に留まる。




ああ、これは返さなきゃな。会えるか分からないけれど。





何故か、あのカフェにいけばまた会えるような気がした。





「ネットカフェ行く前に、寄り道してみよ」








バイバイ、ありがとう私の5年間。



この20代の5年間は、女子にとってはあまりにも大切すぎた。

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