松田のことなんて (ページ9)

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元太「五十嵐」

結局浴衣はなしになったから駅で待ち合わせになった

元太「今日お団子だ」

「絶対熱くなるから」

元太「いいじゃん、行こ」

屋台を数個回って松田曰く穴場スポットで花火が打ち上がるのを待機した。

「こんなとこあったんだ」

元太「毎年ここで家族みんなで見てたんだよね」

「そうなんだ、いいねここ。」

元太「でしょ！好きな子できたら絶対ここに来ようって思ってた」

「…松田ってさ」

元太「ん？」

「なんでそんなに私にこだわってんの」

好きになってくれた理由はこの間聞いたけど、どうしてそれがここまでになったのかが不思議だった

元太「…こだわりとかそんなんじゃなくて好きって自覚した時誰かのになるのがすげー嫌だって思った」

「…」

元太「だからこうやって付き合えなくても俺と一緒にどこか行ってくれるだけでいい、付き合うなんてただの口約束だし」

元太「ぶっちゃけ俺が五十嵐のこと好きでこうやって俺のわがままに付き合ってくれてるだけでも充分幸せだからそれだけでいい」

「…松田女子からモテるからこうやって2人でいるだけでも結構ヒヤヒヤしてる」

元太「それが俺の事を好きになれない理由？」

「え？」

自分でもしっくりきた気がした

キラキラしたのなんてそんな欲張ったことは願ってなくて、ただ普通の高校生活を送りたかった

松田はいつもクラスの輪の中心にいてキラキラしてて

「…」

元太「困らせた？ごめんね」

それから松田はその話題には触れなくて、ただ2人でボーッと花火が上がるのを見てた

ふと松田の方を見た時だった

元太「A、好き」

初めて名前を呼ばれて、二回目のキスをされた

ゆっくりとお互いの顔が離れていく間、心臓の音がいつもの何倍も大きかった。

花火のせいか松田のせいか分かんなかった

戸惑ってるうちに松田に優しく抱きしめられた

元太「わー、やっぱ彼女にしたいかも」

「…」

松田なんかにドキドキしてる。

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