ぼくっ、りょへ！さんっ！

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深｢深澤です、亮平迎えに来ましたぁ｣
先｢あ、お疲れ様です、あの、亮平くん…｣


仕事終わり、亮平を迎えに幼稚園に行くと
丁度玄関で担任の先生と鉢合わせして
何やら困った顔でお出迎えしてくれた


深｢亮平どうかしました？｣
先｢最初は元気だったんですけど…｣

そこで言葉を詰まらせた先生を見て
あぁ、と声が出た。

深｢実は、今日と明日、嫁がいないので多分それで、｣
先｢そうだったんですね｣


亮平の組の教室を覗くと
1人だけ有り得ないほどに暗いオーラの亮平の背中

その手には何やら不格好な塊
…粘土か？


深｢亮平｣

できるだけ優しい声で呼びかけると
ゆっくり振り返った亮平

俺の姿を確認して、
そばに置いてあったリュックを背負った

いつも通り、俺の足に抱きつくけど
その足取りは重たかった


深｢亮平、幼稚園頑張った？｣

縦に首を振る
これは今日ご褒美あげないとな

亮平の目線と同じ高さになるようにしゃがみ
手を広げると、抱きついてくれた。


深｢よし、お菓子買って帰るか？｣
亮｢ラムネ…｣
深｢いいよ、最近暑いからアイスは？いらない？｣
亮｢いるぅ｣
深｢じゃあ先生にさようならしような｣

小さな声で先生と挨拶を交し
これまた小さな手を握って幼稚園を出て帰路に着く


深｢亮平、粘土何作ったの？｣
亮｢パパにね、ふっかちゃんつくったの｣
深｢え？｣
亮｢ママにはね、ハートとおはなつくったの｣
深｢おうち帰ったら見せてくれる？｣

頷いた亮平は口を尖らせたまま。
本当はAにも見てもらいたかっただろうなぁ

あ、そうだ


深｢亮平、帰って、ご飯食べてお風呂も入ったら
ママとお電話してみよっか｣
亮｢…おでん？｣
深｢おでん笑 ママともしもしする？｣


もしもし、を理解した途端
目を開いて3回くらい頷いた





深｢よし、じゃあママともしもしするために
ニコニコしなきゃ！ね？｣
亮｢りょうへ、ニコニコできるよ！｣

そう言って目元をしわくちゃにして笑う。
少しは元気になったかな



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