恋なんて知らなかった (ページ46)

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～士門side～
皆がAを問いただす。Aのその横顔はとても悲しそうだ。

清「じゃぁお遊びは終わりだぁ」

その一言にAの顔は一気に歪んだ。誰だってそんなこと言われたら傷つくだろう。

貴「もうしてるよ...嫌な思い...」

消え入りそうな声に俺はハッと顔を上げた。今にも泣きそうな顔をしていた。Aは本音をぶちまけた後儚く笑う。場違いだがとても綺麗だと思った。

貴「今までお世話になりました。こんな子で...ごめんなさい」

Aはホールから出て行ってしまった。

有「......どうしようか...」
す「ほんま弱りましたなぁ」
天「これからどうすんだ？んん？」
清「婆娑羅と友達なんざありえねぇなぁ」
美「でもAが...」

皆はAの気持ちが分からないのだろうか？もう我慢できない。

士「いい加減にしてください！」
皆「！？」
士「Aは...ずっと悩んできた...俺に本音を吐いてくれたこともあった。その時生きる価値がないだなんて悲しいことも言っていて...そんなAを俺は受け入れます！...天馬は...そうじゃないのか...？」

みるみる天馬がハッとした表情にかわっていく。俺はそれだけ言い残すとAを追ってホールを出た。

士「くそっ！何してるんだ俺は...」

～天馬side～
チッ。何してんだ俺は！トリ丸に言われて気が付いた。俺らはずっとアイツを傷付けていた。

有「士門の言う通りかもしれないね...」
す「うちら、少し言いすぎたんやな...」
新「Aにゃんに申し訳ないことをしたね...」
美「今なら間に合うか...」
勘「Aちゃんを探しに行くっス」
有「じゃぁ手分けして探そうか」

皆それぞれアイツを探してホールを飛び出した。

～Aside～
陰陽連を出てきてしまったが、行くあてもなく街を彷徨っていた。朝の街は静かで道行く人も少なかった。まだ店も開いていない。

貴「やっぱり珠洲の所へ...」

そんなことを考えていると誰かにぶつかってしまった。

貴「す、すみません...」
ろ「あぁ...ってAじゃねぇか！」
貴「え？ろくろ！？と、紅緒も！」
紅「どうしたんですか...？」

そうだ！この2人に頼めば...

貴「ちょっとお願いがあるの」
ろ/紅「？」
貴「私を2人の家に置いて欲しい。料理はするから！お願いします！」
ろ「おい！顔あげろよ！」
紅「そ、そうです！一体...何が？」
貴「実は、かくかくしかじか...」
ろ「そ、そっか...じゃぁ俺達ん家来いよ！」
紅「Aさんなら...歓迎します」