恋なんて知らなかった (ページ44)

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story 24 ページ44

有「...分かったよ。今は言わない」
貴「ありがとう」
清「なんの話だぁ！？隠してんじゃねぇぞぉ！」
す「そうや、隠し事は無しやで？」
天「俺たちには言えねぇことか？んん？」
勘「できれば教えてほしいっス」

皆が口々に言う。それでも言えない。いくら優しい皆であっても聞き入れるとは思えない。

貴「ごめん。言えないことなの。今はまだ...」
士「A...」
有「ここはAの意思を尊重しよう」
す「有馬様っ！」
有「そう簡単に言える内容ではないんだよ」
貴「さっき言いかけてたくせに...」

そこからはまた婆娑羅討伐部隊の話へ戻った。

貴「(珠洲に会ったら...)」

会議を聞きながらもそんな事を考えていた私は自分に向けられた視線に気が付かなかった。
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街にて。

珠「お待たせ～♪」
貴「やっほ☆行こっ！」
珠「りょーかいっ！」

珠洲と一緒に色んな店を見て回る。珠洲のはしゃいだ笑顔はとても綺麗だった。

貴「ちょっと休憩しよっか」
珠「うん！街ってチョー楽しいんじゃーーん！」
貴「あははっ！気に入ってもらえて良かったよ」

そんな話をしながらカフェに入る。テラス席へ案内されたところで私は重く口を開く。

貴「ねぇ、珠洲...」
珠「？」

こてんと首を傾げて私を見つめてくる。その金色の瞳に何もかも見透かされそうだ。

貴「何があっても死なないで...」
珠「A？どーしたの？急に」
貴「もうじき...婆娑羅の討伐部隊が動き出すの。珠洲が対象になっているわけではないと思うんだけど万が一の事があったら...」
珠「A、何言ってるのかな？」
貴「え...？」
珠「あちきは死なないよ。どんな事があったってAと一緒にいたいし。だから...死ぬ訳ないんじゃーーーん！」

ケラケラと笑う珠洲を見て私に勇気が湧いて来た。珠洲を何が何でも守りたい。

貴「ありがと...珠洲」
珠「いーのいーの！」

その後は楽しく珠洲との時間を満喫できた。
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貴「今日はありがと！またね！」
珠「うん！ばいちゃっ☆」

珠洲の後ろ姿を見送りながら微笑ましくなった。

貴「また...会おうね」

そんな場面を誰かに見られているとは知らなかった。
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貴「おはよーう」

今日も朝から会議がある。ホールの扉を開けるとやはり全員揃っていたのだがいつもの雰囲気とは違った。