恋なんて知らなかった (ページ16)

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過去編 4 ページ16

貴「はぁっ、はあっ、はあっ...」

いつも以上の全速力で走って、わたしの息はもう切れ切れだ。それでも、何とか間に合った。

貴「わたしも行きます！連れて行ってください！ご迷惑はかけません！お願いします！」

大声を出して頭を下げる。肺が酸素を欲しがっている。心臓がドクドク鳴っている。何度も何度も肩で息をしながら、頭を下げ続けた。

陰「あなたは、覚悟ができている？死んでも後悔しないと誓える？」
貴「覚悟ならとうにしています！死んだって構いません！父様と母様を応援することができるのなら、死んでも後悔はしません！」
皆「......」
有「いいじゃないか☆こんなに頭を下げているんだよ？連れて行こうよ」
皆「有馬様...」
貴「有難うございます！精一杯頑張ります！」
陰「有馬様が言うのであれば...」
有「よし、じゃあ行くよ～～！」
陰「禍野門開錠！急急如律令！」

すると、鳥居の紋章の様なものが空間に浮かび上がった。わたしは、陰陽師のみなさんと共に禍野へ足を踏み入れた。

貴「ここが、禍野...」

あっちとは全く違う世界。空気はどんよりしているし、空が赤い。建物は壊れていて、不気味な所だ。

貴「父様と母様は...」

ズダァァァァァァンッ！！

それ程遠くない所から凄まじい音が聞こえてきた。何だか薄気味悪い笑い声も聞こえる。急いでそちらへ行ってみると、大きなケガレが陰陽師と激しい戦いを繰り広げていた。

貴「あれはっ！？父様と母様！！」

父様と母様は2人で力を合わせてケガレと戦っている。父様達が優位なようだ。

有「これなら、祓えそうだね！さすが、東雲の家系は違うなぁ」
貴「...」
父「行くぞっ！！」
母「えぇ！」
父/母「「絢爛斬羽(けんらんざんば)！急急如律令！」

ブワァァァァァァァッッッ！！！

禍野に、虹色の羽が舞い散り、ケガレを物凄いスピードで貫通していく。

貴「す、すごい...！」
ケ「ギィィィァァァァァッッッッッ！！」

ケガレは叫び声を上げながら、消えた。

父「やったな」
母「そうね。これでAの元へ帰れるわ」

わたしは嬉しくなり2人のところへ走り出した。しかし、

ガシッ！！

貴「！？」

強い力で肩を掴まれ、後ろへ引き戻された。

有「だめだよ？ここは危ないんだからね」
貴「でもっ！『それに......まだ終わってないよ』......え？」

？「うっひゃぁぁぁはっはっは！こいつぁ、いい！こんなごちそうにありつけるなんてなぁ！」

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