恋なんて知らなかった

過去編 2 ページ14

父/母「「約束？」」

父様と母様は首を傾げている。呼吸を整えて、泣き止むのを待ってからわたしは口を開く。

貴「そうです、約束です！わたしと、約束をするのです！そうすればっ、父様と母様は死んだりはしません！」
母「そうね...いい考えだわ、A。そうしましょう」
貴「はいっ！！」

にっこりと父様と母様に笑いかける。
すると父様が頭を下げてきた。
突然のことにわたしはビックリした。

父「さっきは、その...怒鳴ってすまなかった...」
貴「と、父様！顔を上げてください！一緒に約束をしましょう！ね？」
父「あぁ、そうだな。ありがとう、A」
母「どんな約束をするのかしら？」
貴「絶対に、ぜぇぇぇったいに生きて帰ってきてください！わたしを置いていかないで下さい！それが約束です！」
父/母「「......」」
貴「だ、ダメですか・・・？」
母「いいえ、だめなはずないわ。母様達も不安だったの。死んでしまう戦いになんて行きたくないもの。でも、あなたの約束のおかげで、何だか勝つ気がしてきたわ！」
父「まだ、俺たちが死ぬ訳にはいかないってことだな」
母「えぇ、そうね。この子を残しては死ねないわ。まだまだ、この子の成長を見届けていく義務があるものね」
父「そうだな！」
貴「ではっ！！」
母「A、約束しましょう。私達は必ず帰ってくるわ。あなたのために、ね」
父「A、約束しよう。俺達は必ず帰ってくる。おまえのために」
貴「父様っ！母様っ！わたしも約束します！お二人が必ず戻ると信じることを！」

わたし達は約束し合った。絶対に守られる約束。









その約束が打ち破られるなんてあの時のわたしは夢にも思っていなかった。

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