・ ページ9
.
『ねぇねぇ死神さん』
「なんだよ」
『今外ってどんな感じなの??』
「外?」
こいつの元へやって来てから3日が経った
仕事の一環である、やり残したことで何かしたい事はあるかと聞いてもいつも帰ってくる答えは、
『特になし』
の一点張りだった
こいつの一日はというと本を読んで、寝て、俺と話しをするだけだった
そんなこいつが唯一お願いしてきたのが外の様子を教えて欲しい、ということだった
「外が気になるのか?」
『っ!うん!新聞に書いてあったの。今日本は西洋の文化を取り入れてて変化してるって』
「あぁ、そうだな。電車というものができたり若者が学校に行ったり、洋食が流行ったりな」
『洋食!それ新聞で見た!不思議な食べ物だよね』
「食ったことねぇのか?」
『…基本ふやけたお米だから』
「そっか、」
こいつは流行りの文化に興味でもあるのかな
「そんなに外が気になるのか?」
『…俺ね、病気になってから一度もこの屋敷から出たことないの。』
『家の人たちが嫌がるから。日光浴びるといいって聞いたのに、縁側で太陽にあたることすら許してくれないの』
こいつがいる場所はこの辺りでも特に大きな豪邸のような家だった
『…っ、俺が、養子の俺が病気になっちゃって、それで、家の評判が下がるから内緒でここに隔離されて、』
気持ちが溢れるのかいつもより早口で言葉を吐き出す
『死にたい』
.
65人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しぐれ | 作成日時:2021年4月17日 19時