一度の過ちと100回の後悔/志麻 ページ10
「坂田、パス!」
「おうよ!」
仲間からきたボールをドリブルしながらディフェンスを華麗に抜き、ゴールの手前で足で地面をおもいきり蹴って彼は跳んだ。ーーボールを投げながら。
そして、そのボールはコートの中へと、勢いよく入った。
その瞬間、女子達の黄色い歓声は最高に大きくなった。
カッコよくて運動神経抜群で、ちょっとあほっぽいところもあるけれどそんなところも笑いに変えてしまう、愛されキャラ。
そんな坂田くんの人気はかなり高い。
(坂田くん、かっこいい…!)
かくいう私もその一人で、悲鳴こそあげないが彼がちょっとした動作をする度にかっこいいだの可愛いだの思って勝手に一人で盛りあがってしまうので、大分重症だ。
前まではあまり好きじゃなかった学校も、今では坂田くんに会うために行っているようなものだ。
そう思えてしまうぐらい、私は坂田くんに溺れていた。彼が私の全て。
私の瞳にはいつだって坂田くんしか映らない。だからこそ、他の誰かなんて考えたことも無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガラガラッと音を立てて誰もいない教室の中へと入る。
私が所属している生徒会の仕事を終わらせて帰ろうとしたところ、教室に忘れ物をしたことに気が付いたのだ。
他の人達は部活かもう既に帰宅したのだろう、私以外には誰もいなかった。
それが何となく不気味に感じてお目当ての物を見つけてさっさと帰ろうとした時、“それ”は私の視界に入ってきたのだ。
「坂田くんの…ジャージ?」
彼の机の上に無造作に置いてあったのは学校指定の上着。恐る恐る近づいてみると『坂田』の二文字。間違いない、坂田くんのだ。
そういえば今日のバスケの時間、坂田くんやってるうちに暑くなって上着脱いでたよな。
もしかしたら、それを着ないまま教室まで持ってきて、鞄にしまい忘れた、ということだろうか。普通は机の上にあるのだから忘れないだろうが、坂田くんだからありえない事も無い。
私は彼の上着を見てゴクリ、と唾を飲んだ。
きちっと畳んでる訳じゃなくて、適当にやったような畳み方だから、ところどころはみ出てるしあまり綺麗とは言えない。
けれどそこが坂田くんらしくて、そう考えると愛おしさが出てくる。
上着なのに、まるで坂田くんを見ているように私の心臓はどくどくと、うるさく鳴り響く。
(坂田くんの、坂田くんの上着…!)
ああ、ダメだ。抑えられない。
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可愛い後輩ちゃん - なるちゃんの口調そっくりすぎるwwwww🍥🍥 (2022年3月27日 13時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
りゅー - まふまふさんの監禁系お願いします! (2022年2月13日 11時) (レス) @page25 id: 67f46d50a0 (このIDを非表示/違反報告)
月花月 - リクエストです、坂田さんの閉じ込める系お願いします (2020年7月6日 21時) (レス) id: fc0fb56c2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼空@リス(プロフ) - いきなりですがリクエスト失礼します、志麻さんで服従系ヤンデレをお願いします!! (2019年7月28日 6時) (レス) id: 9910aa95ba (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きゃらめるさん» 承りました!!元々、まふまふさん視点は考えてはいたのですが、都合上、本編に載せることが出来なかったので、載せる機会を与えてくださりありがとうございます…!!のろのろ更新ですが、精一杯頑張りますので、宜しければまた見て下さると嬉しいです〜!! (2019年2月14日 0時) (レス) id: 54c8766224 (このIDを非表示/違反報告)
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