君がため/うらたぬき ページ12
ｰｰ私ね、彼氏ができたの。
照れくさそうにはにかみながら彼女はそう言った。どう見てもそこに嘘なんてものは存在しなく、それが現実であることだと、思い知らされた。
Aと俺は俗に言う幼馴染みの関係だった。親同士が仲良くて、家族ぐるみでよく色んなところに遊びに行った。
小さい頃のAはかなりの泣き虫で、ちょっとしたことですぐ泣いていた。
転んだら泣く、幼稚園の意地悪な級友にオモチャを横取りされたら泣く、大好きなお菓子を誰かに食べられてしまったことに気がつくとまた泣く…と他にすることが無いのかとツッコミたくなるレベルで泣いてばかりのヤツだった。
そして、そんなAを慰めてたのはいつも俺だった。
転んだら手を引いて立たせてやりいたいのいたいのとんでけーっておまじないをかけてやり、オモチャを横取りされたらその子のところに取り返しに行ったり、お菓子がなければ俺の分のお菓子をやったりした。
ずっとそうしてきたからか、彼女の世話をやくのが俺の習慣となり、いつの間にか義務と化していた。
Aを守る。そんな使命感がいつも俺の頭をぐるぐると回っていた。
そんな俺の幼馴染みに、彼氏が出来たらしい。
Aの隣のクラスで、委員会を通して知り合ったそうだ。
委員会、ということは二人は出会ってからそんなに時間はたっていないだろう。
…巫山戯るな。まだ出会って間もない奴なんかにAを守れるものか。
俺の方がAと過ごしてきた時間は長いんだ。俺の方が相応しいはずなんだ。
ーーーーーーーー
「っと。んなもんかな」
携帯の画面に文字を打ち終わり『送信』の所をタップする。やがて、その画面は送信中から送信しましたへと変わったことを確認して机の上に置く。
それからぐるりと教室を一望した。俺の他に誰もいなくて夕焼けの光と影が窓から差し込んでくる。
と、その時、ガラガラッと音を立てて扉は開かれた。
「…あれ、うらた？どうしたの？」
声の主であるAは不思議そうに俺に問いかける。
俺とAは同じクラスだから俺がこの教室にいること自体はおかしくも何ともない。ただ放課後に一人で何かをするわけでなくこうしてつったっていることが不思議なのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
可愛い後輩ちゃん - なるちゃんの口調そっくりすぎるwwwww🍥🍥 (2022年3月27日 13時) (
レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
りゅー - まふまふさんの監禁系お願いします！ (2022年2月13日 11時) (レス) @page25 id: 67f46d50a0 (このIDを非表示/違反報告)
月花月 - リクエストです、坂田さんの閉じ込める系お願いします (2020年7月6日 21時) (レス) id: fc0fb56c2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼空@リス(プロフ) - いきなりですがリクエスト失礼します、志麻さんで服従系ヤンデレをお願いします！！ (2019年7月28日 6時) (レス) id: 9910aa95ba (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きゃらめるさん» 承りました!!元々、まふまふさん視点は考えてはいたのですが、都合上、本編に載せることが出来なかったので、載せる機会を与えてくださりありがとうございます…!!のろのろ更新ですが、精一杯頑張りますので、宜しければまた見て下さると嬉しいです〜!! (2019年2月14日 0時) (レス) id: 54c8766224 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
