6/20(木) 放課後 ページ33
昨日シャオロンに言われたことを思い返しながら、小説のページを捲る。
自分から女の子に話しかける事は滅多にない。そう言われ、コネシマの行動を少し観察してみると確かに彼は話しかけられ無ければクラスメイトと言えども自ら女子に話しかける事はしていなかった。
しかしそれはコネシマだけに限らず、そう言っていた当の本人のシャオロンも、ゾムもロボロも。軟派と噂される鬱を抜いて全員がそうだったのだ。
「考え事ですか？」
「エミ先輩。考え事してるように見えました？」
「他の人だったら気づかないかもしれないですが、少しだけ伏し目がちでしたので何かあったのかな、と」
椅子を引いて隣に腰かけるエーミールは、開きっぱなしの小説の文字を目で追って目を丸くした。
「もしかして考え事は恋愛に関してなんですか？」
「恋愛とはまた違いますけど、それには近いかもしれないです。なんでわかったんですか？」
「Aさんは普段は恋愛小説は読みませんからね。私で良ければ何時でもお聞きしますよ」
解決にはならないかもですが、と彼は眉を少しだけ下げて言う。
「エミ先輩は普段女の子とお喋りしますか？」
「勿論話しかけられればお話はしますが…中々自分からは話しかけはしないですね」
「じゃあなんで私には話しかけてくれるんですか？」
そう聞かれるとは思っていなかったのだろう。一瞬言葉に詰まらせた彼は「Aさんだからです」と何時もよりも力強く答える。
「私だからですか」
「そうです。Aさんは去年から私を慕ってくださってるやないですか。それが分かるから、私も安心して話しかけれるんだと思います」
「じゃあ例えば、エミ先輩を慕う別の後輩が現れたとしたら自分から話しかけに行きます？」
もちろん女の子ですよ。と付け加えてから目を閉じて首を傾げる彼の返答を待つ。
数十秒考え、彼はより一層の眉を下げた。
「わからない、が私の答えですね」
「なんで分からないんでしょうか」
「少し考えてみたんですが、私を慕ってくださる方がどういう方なのか分からないので…。それに」
「それに？」
「私がAさんに話しかけるのは、私がAさんと話したいからって言うのが大きいという事に気づいたので」
彼の色素の薄い瞳が薄められ、何時もなら照れる所だが今日はそうも言ってられない。
やはり、乙女ゲームの攻略対象にする質問ではなかったようだ。
「やっぱ乙ゲーは守備範囲外だ…」
「え、ゲームの話やったんですか!?」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美桜(プロフ) - こねまるさん» コメントありがとうございます。好みと言っていただけてとても感激です…！更新頻度が少し落ちていますが最後まで走り抜けたいと思ってるのでこれからもよろしくお願い致します。 (2021年2月11日 10時) (
レス) id: 370c9193fb (このIDを非表示/違反報告)
こねまる(プロフ) - 全てが好みすぎてやばいです…もう何回も読み返してます…!!この作品とっても大好きです! 無理せず更新頑張ってください!!! (2021年2月11日 1時) (レス) id: 02de4baf3e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - アルみかんさん» 100票目ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです！これからも精進していきますのでよろしくお願いいたします。 (2021年1月13日 20時) (レス) id: 370c9193fb (このIDを非表示/違反報告)
アルみかん(プロフ) - 100票目押させて頂きありがとうございます！これからもついて行きます！ (2021年1月12日 23時) (レス) id: 3b84e69a91 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - なコさん» コメントありがとうございます。題の乙ゲー感に気づいていただけて嬉しいです。そして、名前のご指摘ありがとうございます。私が気づけた範囲で修正させて頂きましたのでまだありましたら教えていただけると幸いです。これからもよろしくお願い致します。 (2021年1月5日 18時) (レス) id: 370c9193fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美桜 | 作成日時：2020年12月16日 18時
