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普通。
私をあらわす言葉があるとすればそれはこの一言だ。
顔も、運動も、勉強も、全てが普通。
特に秀でたことなんてない。
でも、ある意味それが幸せだ。
目の前にいる、あの子みたいにはならないから。
「お金ないわけ??」
「ごめんなさ、もう親からももらえなくてっ、」
「はっ?使えなww」
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
何度も何度も謝る顔見知り程度のクラスメイト。
トイレに行けば、毎日見る光景。
普通にしとけば、
彼女のように狙われることはないのだ。
だから私は、今日も普通でいなければならない。
義務みたいなもんだな、
そう思いながらトイレを出て、教室に戻った。
「お帰りーA」
教室についた私を見てそう話しかけてきた乃々華。
ニコリと微笑む彼女は天使だ。
『ただいま〜、』
乃々華の前の席に腰掛ける。
すると、乃々華は教室を見回してこう言った。
「、、、前田さん、いないね。」
、、、前田さんは、
さっきトイレでいじめられていた人か
あの光景を思い出しながら、眉間に皺を寄せる。
そんな私を見て察しがついたのか、
乃々華はため息をついた。
「とめたくてもね、、、」
『、、、だね、、、』
もしとめたなら、
次狙われるのは自分たちだと分かっているから、
とめることなどできはしないのだ。
(ほんと、どうかしてるよね。)
そう考えていると、授業が始まるチャイムがなった。
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作者名:時雨 | 作成日時:2021年8月16日 0時