君と共に歩む IV (ページ5)

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▫オトメゴコロってやつなんです doyoung ページ5

『Aーコレ、電源切っていいのー』
「え〜？なにー！聞こえなーい！」
『髪巻くヤツ！付けっぱなしだけどー！消すのー？』
「あ！だめー！前髪やるから置いといて！」
『んー』
洗面所から聞こえるオッパの声に耳を傾けながらも、アクセサリースタンドを漁る手は止めない。ん〜このネックレス、可愛いんだけど、若干髪に絡みやすいんだよね。あーでもこれが1番今日の服装には合ってるかな？これでいっか。
「ドンヨンオッパ、これ付けて」
『はいはい』
小ぶりなハートのチャームがついたネックレスを彼に手渡し、そのままくるんと背を向けると、オッパの手が私の首元に優しく触れる。一昨日変えたばかりのネイルは凄く可愛いけど、上手にチェーンが繋げられない。
『髪、ちょっと持っててくれる？』
「うん」
『…はい、いいよ』
「ありがと〜」
『もう行けそう？』
「うん、前髪巻いたら行ける」
『使い終わったら電源忘れないで切ってね、コンセントもちゃんと抜いて。分かった？危ないから』
「ネー」
オッパって本当、オンマみたい。拗ねちゃうから言わないけど(笑)。

お気に入りのヘアミストを纏い、玄関で待つ彼の元へ。スマホは持ったから大丈夫、あれ、ハンカチ入れたっけ？
『A、そのコートで行くの？寒いんじゃない？』
「そう？大丈夫だと思うけど」
『スカートだし、もうちょっと長いコートないの？ペディンの方がいいんじゃない？』
オフホワイトのタートルニットにモスグリーンのタイトスカート。それから。
「ペディンはあんまり可愛くないもん」
『そんな事ないでしょ。それに、暖かいよ？』
「お洒落は我慢なのー」
『我慢って言ったって、風邪ひいたらどうするの』
「オッパに看病してもらう」
『ヤー、…パボ』
ライトブラウンのトッパーコートは、彼が可愛いって褒めてくれたから。

『はい』
「？」
『今日は本当に冷えるから、これつけて。…耳、赤くなってる』
「…いいの？」
『いいの。…苦しくない？』
「…うん、大丈夫。ありがとオッパ」
『ん』

あのね、オッパ。
本当はね、こうやって、心配してくれるのが嬉しいって言ったら、オッパは怒るかな？子どもじゃないんだから、って、言われちゃうかな。

『手、貸して。…やっぱり。冷えてるじゃん』
「オッパ、あったかーい！」
『はいはい、良かったね』
「(笑)」

外はやっぱり寒くて、思わず首に巻かれたネイビーのマフラーに顔を埋める。大好きな、彼の香水の香りがする。