君と共に歩む IV (ページ4)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,786 hit

▫ピザとコーラとあなたと jeno ページ4

「…！やば、遅刻っ！…ちがう、休みだ…」
ほんの少しの肌寒さに目を覚ますと、時刻は朝の7時過ぎ。慌てて掴んだ携帯片手にだらり、思わず項垂れる。あー、急に起き上がったからか、めまいがしてる気がする。
「…はぁ」
折角の休日なのに、何だか朝から気分が晴れない。何となくどんよりとした天気だから？変な目覚め方だったから？昨日の仕事のミスを引き摺っている？…うーん、それかも。
「寝よ」
こんな時は睡眠に限ると、再びベッドへと潜り込んだ。

『───』
どこからが聞こえる誰かの話し声に、静かに瞼が開かれる。
『あ、起こした？ごめん、勝手に入って』
「…じぇの？」
『うん、ジェノ。カトクも電話もしたんだけど返事なかったからさ、どうしたかと思ってさ』
「あー…ごめん。寝ちゃった…」
ビニール袋片手に携帯と合鍵をフリフリするジェノ。外は余程寒いのか、頬がほんの少し赤くなっている。
『インターホン、聞こえた？』
「んーん、全然」
『はは、いっぱい寝たんだねぇ』
酷いことになっているであろう寝癖まみれの髪をふわふわと撫でるジェノの大きな手。ほんのり伝わる彼の体温。
『お腹空いてない？ピザ買ってきたんだけど、寝起きじゃキツい？』
「んー、だいじょぶ。食べたい」
『うん。顔洗っておいで？』
「はーい」
コップ借りるね、と言いながらキッチンの方へ向かったジェノに続いて寝室から出る。あー、今日は結構寒い。

「わ、いー匂い」
『ね。コーラでいい？』
「うん、ありがとう」
『はい、こっちAのね』
チーズがたっぷり乗った、とっても美味しそうなマルガリータ。
「いただきます」
『はーい。…いただきます』
「ん、美味しい」
『ね。…良かった、食欲あって』
「…うん」
リビングのラグの上、隣に座り込んだジェノが目の辺りを見ているのが分かる。───きっと酷く腫れ上がっているであろう瞼は、昨晩私がどれ程涙を流したのかを物語っている。
『仕事、あんまり無理しすぎないでね。適度に吐き出して、さ』
「…うん、ありがと」
『よし、温かいうちに食べよう。コーラ、もっと飲む？』
変に探りを入れたり、場を盛り上げようとしない彼の優しさにまた涙が出そうになる。でも何となくバレたくなくて、ピザを1口食べて誤魔化す。
『今日は寒いしさ、ダラダラして過ごそっか』

美味しいご飯を食べて、2度寝して。大好きなジェノと一緒に過ごす幸せな休日。何となく、仕事も頑張れそうだなって、思えた。