君と共に歩む IV (ページ1)

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▫手を伸ばす先、魅惑あり haechan ページ1

辺り一面を水浸しにする夕立ちに、慌てて洗濯物を取り込んだ午後16時半。もう1回洗わなくちゃいけなくなる所だったと、安堵しながらリビングでそれらを畳んでいる最中。
『…』
「…」
『何』
「何？…こっちのセリフなんですけど」
『…あー分かった。そ〜んなに見蕩れちゃう程、ドンヒョクくんの事が好きって事ね、ハイハイ』
「…」
夜ご飯、何にする？なんて、流しっぱなしのテレビに紛れる2人の会話がするっと耳から耳へ抜けてしまうほどに気になる“ソレ”。
「ね〜やめて、くすぐったい」
『ん〜』
フローリングに伸びている私の左足、腿の辺りを這うのは“ソレ”、ソファからこちらに伸びたドンヒョクの右手。部屋着のショートパンツから出た肌を、サワサワと妙な力加減で撫でている。
「ねぇ、キモいからやめて」
『色白いね、アナタ』
「引きこもりだもん」
『へ〜』
「…もう！なんなの！そんな事してるなら一緒に畳んでよ！」
『わ〜かったわかった、ごめんって(笑)』
小麦色の手をパッと払うと、観念したようにソファから起き上がり私の横に座り込んだ彼。
「タオル、ちゃんと端合わせてね？」
『お〜任せとけ。ホテル並に綺麗にしてあげる』
「そこまで本気じゃなくていいよ(笑)」
『(笑)』
時折ぶつかる肘に笑いあったりする、同棲2年目の夏、休日。

『ドライヤー、俺がやる？』
「いいの？やった」
『ここ座って』
2人で1個のアイスを食べ合いながら過ごすお風呂上がり。丁寧に施されたヘアケアに大満足し、2人並んでベッドへ寝転がる。
『あー明日からまた仕事かぁ』
「…だるいね」
『な。フツーに学生に戻りてーわ』
「ね〜」
『あ〜あ。Aちゃんの制服姿、もう1回見たいな〜？』
「…」
『何よその目は(笑)』
「学生の時、私の事なんか眼中になかったくせにと思って」
『…さ、寝よっか？』
彼と出会ったのも、もうずっと前のことなんだなぁなんて。

『…』
「…なによぉ」
『いーや、別に？』
また始まった、ドンヒョクの“ソレ”。
「暑いから、やめて」
『…』
「何」
『目の前にこーんな綺麗な足があったら触るでしょ、普通。常識だよ？』
「…変なの。アンタどこ育ち？」
『済州島』
絶妙な力加減のボディタッチ、掌の体温。
「…明日仕事なの、忘れないでね」
『うん。だからちょっとだけ、気持ちよくなろうね』

服に手をかけたドンヒョクの指先、私の閉じられた瞳、静かに重なり合うふたつの唇、混ざる吐息。