最初の試練 ページ1
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その日ばかりは(ラウールくんを除いて)皆が病室を訪れ、再び賑やかなひと時を過ごした。
しかししばらくすると、後は2人でとばかりに皆席を外してしまった。
「何か気を遣わせちゃったな」
fk「まあ、有り難く受け取っとこ」
「そうだな」
fk「はー、とうとう来ちゃったねぇ、この日が」
「おう」
fk「ラウールくん、結局間に合わなかったかー」
「ごめんな」
fk「別に責めてないよ。あーでも、これが上手くいかなかったら、俺死んじゃうんだもんね。いやー、まだ死にたくはねぇなー」
「そんなことさせる訳ないだろ。そうですよね、櫻井先生」
『もちろん全力を尽くします』
fk「ふふ、お願いしまーす」
本人以上に緊張して、どうしても重たい空気を纏ってしまう俺。
それに対し、ふっかはいかにも何でもないことのように、間延びしたような声で喋る。
本来なら逆であるべきなのに…
俺があまりにガチガチなせいで、一番不安なはずのふっか本人がその思いを表に出せないのだとしたら可哀想だ。
それに、ふっかを送り出す役割を託してくれた皆にも申し訳ない。
fk「もう、そんな硬くならなくて大丈夫だって!」
「でも…」
fk「まあいいや、照が緊張してるの見てると、逆にリラックス出来る気がするわ」
「え?」
その言葉は気遣いのようにも本心のようにも聞こえ、彼の真意はわからなかった。
けれど、どちらにしても、今更無理して笑ったところでどうせバレて、余計に気を遣わせるか不安を煽るかだと思った。
それならせめて、自分らしい素のままの言葉で送り出してあげよう。
確かに不安だけれど、それでも、彼を信じる気持ちは変わらないから。
「待ってるから。絶対帰って来いよ」
fk「おう、じゃ行ってくるわ」
絞り出した言葉に、ふっかはふわりと笑うと、病室を後にした。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。大好きだなんて、嬉しいお言葉…すごく元気が出ます。私自身この後どうなるかわかっていないのですが(笑)、9人の行く末を最後まで見届けて頂ければ幸いです。 (2020年7月4日 20時) (レス) id: 593619ab54 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - こんにちわ。いつも更新を楽しみに待ってるただのファンです。まさかの不穏な空気にめちゃくちゃドキドキしてます。こんな引き込まれるお話を書けるなんて凄いです。大好きです。どうかみんなが幸せになれますように、と願いながらこれからもお話楽しみにしてます! (2020年7月3日 20時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年6月26日 3時