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しかし、新たな居場所探しは思った以上に困難を極めた。
(まさかここで躓くとはね…)
正直、2人一緒には無理でも、俺1人なら引き取り手はあるだろうなんて甘いことを考えていた。
まして、暴力を受けている身だ。
俺が望みさえすれば、母の元から無理やりにでも引き剥がしてくれる熱血な親戚が1人くらいはいるのではないかと踏んでいた。
だから俺は、学校をサボっては遠い記憶の中にある親戚の家を回り、自らの置かれた窮状を訴えた。
しかし、父が亡くなってからは全くと言っていいほど関わりがなかった彼らにとって、俺は決して歓迎すべき客ではなかった。
家に入れて話を聞いてくれればいい方で、時には門前払いを食らうことさえあった。
「いよいよ行くあてがねぇな…」
dt「うーん、困ったね…」
定番となったガレージでの作戦会議で、ふたりして頭を抱える。
「こうなったら友達の家でも転々とする？」
dt「流石にそれで何年もは厳しくない？それに、母親に連絡入れられちゃうでしょ」
「でも、他に安全に暮らせる場所も思いつかないし…」
もう何度目かもわからない溜息が、冬の冷たい空に消えた。
結局その後も名案が浮かぶことはなく、無策のまま数週間が過ぎた。
(これは、ここで最後まで耐え忍ぶパターンもあるかもな…涼太には心配かけるだろうけど)
その頃になると、俺は脱出を半ば諦め、そんな覚悟を決めかけていた。
しかし、それから間もなくして、思いもよらぬ救世主が現れたのだ。
dt「翔太翔太！大ニュース！！」
その日ガレージにやってきた涼太は、珍しく興奮した様子だった。
「何、どしたの」
dt「佐久間さんに会った！でね、俺たちの状況話したら、翔太のこと匿おうかって言ってくれて！」
「え、マジ…？」
dt「とりあえず、明日の10時に駅前で待ち合わせしたから！一緒に来て！」
そんな奇跡的な話があるのかと少々疑いながらも、もはやこれに賭けるしかなかった。
いずれにしても勝負は明日。そう思うと、期待と不安で胸がいっぱいになった。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
