再びの舞と新たな事実 ページ33
kj side
そして迎えた彼らの大阪公演。
会場は満席とまではいかないが、まずまずの客入り。そしてその中には、いかにもダンサーっぽい風貌の人がちらほらいる。
ふと耳に入ってきた会話から察するに、おそらく彼らも佐久間さんを尊敬してやまないダンサーの卵なのだろう。
その雰囲気に少々押されながら、俺は同じく戦々恐々としている紫耀の家族の隣に陣取ってステージを見つめる。
『息子がまさかこういう道に進むとはねぇ』
お母さんが誰に向けるともなくしみじみと言った。
紫耀から聞いたところによると、東京行きを宣言した時、家族は皆反対していたらしい。
しかし紫耀はそれを押し切って旅立った。そしてそれから、今までただの一度も実家に顔を出すことなく、ひたすらダンスに打ち込んでいたそうだ。
だから、今日は紫耀にとって久々の家族との再会であり、初めて家族の前で舞台に立つ日でもあった。
つまり、ある意味で今日が、家族に自分の道を認めてもらえるかどうかの正念場なのだと彼は言っていた。
その時、ざわついていた会場かスッと静かになり、ステージの幕が開いた。
紫耀の姿は程なくして見つかった。
見るからに気合い十分で、俺の知る彼よりもさらにパワーアップしたダンスを見せている。
チラリと横目でうかがうと、家族の目もちゃんと釘付けになっていて、ああ、これは紫耀のことを認めざるを得ないだろうな、なんて安心する。
ステージはどんどん熱を増していく。
俺は夢中になって彼らのダンスを見ていたが、ある時、何故か会場から再び音が消えた。
不思議に思っていると、次の瞬間、今日1番の歓声が響いた。
その時、ステージの中央でスポットライトに照らされていたのは、あの日の記憶そのままの佐久間さんだった。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
