まだ道はある ページ24
fk side
阿部さんのあまりにストレートな物言いに、流石の俺も動揺が顔に出てしまったと思う。
隣に座る照も、膝の上で拳を握りしめている。
mg「ちょっと…！」
目黒さんが慌てて間に入ろうとしてくれているものの、阿部さんは真っ直ぐにこちらを見つめたまま動かない。
「…再発が分かったのは、ちょうど今から半年後の定期検査のとき。でも、転移した場所がよくなかったらしくて、通ってた病院じゃ手術が出来なくて」
ab「そうだったんだ」
「結局、騙し騙しの治療で、体の負担ばかり増えていって、そこから長くは生きられなかったんだ。
俺の体がもうちょっと強ければよかったんだけど…」
観念して語りながらも、辛い思い出が蘇って落ち込む俺。ああ、今俺はどんな表情をしているのだろう。
しかし、そんな俺をよそに、阿部さんの方は薄く笑みを浮かべている。
ab「うん、思った通りかも」
「え？」
状況が掴めない。今度は何を言われるのか。
しかし、彼が次に発したのは、さっきのようなストレートな攻撃でも下手な同情でもなく、非常に建設的な提案だった。
ab「ということは、手術が出来ればもっと長く生きられる可能性が高いわけだよね？」
「まあ、そうだね」
ab「じゃあとりあえず、検査はそれなりに前倒ししてもらうとして、もう一つ策がある」
「策って？」
ab「俺の通ってる大学の系列病院に、凄く腕のいい医者がいるらしいんだ。櫻井先生って言うんだけど…
不可能と思われた手術を何度も成功させてるって聞いてる。
その人なら、深澤さんの手術も受けてくれる可能性はあると思う。知り合いの教授を通じて話はしておくから、前と同じような状況になったら彼を頼ってみなよ」
なんと、そんな情報を掴んでくれていたとは。
だとしたら、案外道のりは辛くないかもしれない。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
