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iw side
お互い一歩も譲らぬ大接戦を繰り広げた後、最後にふっかが打ち込んだスマッシュが俺のコートの中で跳ねた。
fk「よーっしゃーー！！勝ったぜーい！！」
そう叫んでガッツポーズを決めるあいつのキラキラした笑顔に、何故だか少し苦しくなる。
あと何回、この笑顔が見られるのだろうか。
…いや、俺がそんな事を考えていてどうする。あいつは病気を克服するんだ。何十年先だって、あいつは俺の隣で笑っているはずなんだ。
何とかそう信じ込もうとするのだが、再発の後みるみるうちに衰弱していった彼の姿を思い出してしまって、なかなか上手くいかない。
ふっかは心配しすぎだと言って笑ったけれど、どうしても意識してしまうから、「普段通り」がなかなか出来ない。
でも、それじゃダメだ。
ふっかだって同じような不安を感じていないはずはないのに、それでも彼はそれをひた隠しにして、今この瞬間を精一杯楽しもうとしている。
だとしたら、俺に残された選択肢は、ふっかのその思いに付き合ってやることだけだった。
(お前、そういうとこだよ…)
強いフリして、限界を迎える直前まで抱え込もうとするあいつの性格は、戻ってきてからもやっぱり変わっていない。
それがいいところでもあるのだけれど、もう少し頼ってくれてもいいのに。
じゃないと、俺はますます過保護でうざったい男になりかねない。
そんなことを考えながら、次に始まった試合をぼんやり眺めていると、ふいに同期が俺たち2人の元に駆け寄ってきた。
『なんか、2人呼ばれてるよ』
(呼ばれてるって、誰に？)
不思議に思いながらコートの入り口を振り返ると、そこにはうっすらと見覚えのある影が立っていた。
思わずふっかと顔を見合わせ、弾かれたように立ち上がる。
ab「やっと見つけたよー、もう…でも良かった、とりあえず元気そうで」
阿部さんはそう言うと、優しく微笑んだ。
そして、その微笑みとは裏腹に、半ば無理やり俺たちをコートから連れ出したのだった。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
