過保護なあいつ ページ19
fk side
この世界に戻ってきてからというもの、照はこれでもかというくらい俺に過保護だった。
戻ってきたのは、再発がわかるまでまだ少し時間があるはずの時期。
だから、今検査を受けたところで引っかからないし、あれこれ心配したところで何にもならない。
しかし、俺が何度そう言っても照は聞く耳を持たなかった。
照とは家も近所で、大学も同じだったから、生活リズムはほぼ一緒。
だからか、照は俺がどこに行くにもついてきて、ちょっとでも体調の悪そうなそぶりを見せると途端にパニックになりかけていた。
たとえその原因が、単なる寝不足や全然関係なさそうな怪我だったとしても。
「ねえ、そんな心配しなくても大丈夫だって。どうせならもっと普通に大学生活楽しもうぜ」
iw「いや、そうなんだけど…やっぱどうしても落ち着かなくて」
「まあ、その気持ちだけはありがたく貰っとくけどさ。でも、どっちにしろもうすぐ病院に閉じ込められるんだから、せめて今だけは楽しませてよ」
iw「…ああ、そうだな」
そこで無理やり笑顔を作った照を見て、少しだけ胸が痛む。
前回、いきなり再発を知らされた時は、一気に絶望の底に落とされたような気分だった。
今回はこれから何が起きるかわかっている分少しは気が楽かなと思っていたのだけれど、終わりの瞬間を感じながら平静を装うのも、それはそれで辛いものがあった。
多分、照も同じような気分なのだろう。
だからというわけでもないが、俺は思い立ったように照に尋ねる。
「なあ、今日照何限まで？」
iw「3限で終わりだけど」
「お、ちょうどいい。久々にサークル顔出そうと思ってんだけど、照も来いよ。8年ぶりの真剣勝負しようぜ」
そう、うだうだとした悩みを忘れるにはスポーツが一番だ。
iw「8年ぶりって言ったって、こっちの世界では1ヶ月も経ってないだろ多分」
「細かいこと言うなよ、気持ちの上では8年ぶりなの」
iw「はいはい」
今度は呆れたように笑った照。
そうそう、俺たちはやっぱりこうじゃなくちゃ。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
