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mg side
ab「こういうの、嫌いじゃなかった？」
「むしろ好きっす」
その答えはもちろん嘘ではなかったものの、一方で彼がこういう店を選んだことは意外だった。
もっとこう、静かでおしゃれな店の方が、彼のイメージに沿っているような気がしたのだ。
ab「時々来るんだ。ちょっと落ち込んだ時とか、1人でぐるぐる考え込んじゃってる時とか、このガヤガヤした感じがなんだかちょうど良くて」
何を思い出したのか、少しだけ悲しそうな顔をする阿部さん。
しかし、俺が反応できずにいる間に、その顔は爽やかな笑顔に戻っていた。
ab「さ、何食べる？ここは何でも美味いよ」
「うーんじゃあ、この唐揚げ定食かな」
ab「あーいいね。じゃあ俺サバ味噌にしよ」
そのやけに無邪気な顔を見て、俺はやっぱり彼のことがよくわからなくなる。
ab「改めて、今日はわざわざありがとうね」
「いや、俺は別に何も」
ab「そんなことないよ。俺、目黒さんってすごい行動力のある人なんだなってびっくりした」
運ばれてきた定食を頬張りながら、俺の高校の話なんかをしていた時、阿部さんが不意にそう言った。
「俺は逆に、阿部さんにびっくりしましたよ。気まずいはずの俺にもすごく優しくて、さっきの調べ物の件だってめちゃくちゃ頑張ってて。
お兄さんを見捨てたなんて言うから、どんな冷たい人かと思ったら、全然違った」
ab「やめてよ、俺まだ何にも出来てないよ…でも、そうやって褒めてくれるあたり、目黒さんも案外優しいとこあんだね」
「何だよその言い方」
ab「えー、だってあの時俺のことあんなに責めたくせにー」
「それ言うならお互い様だっての」
ab「うう…確かに」
わざとらしく口を尖らせてみせる阿部さんに、可愛いなんて思ってしまう。
こんな表情もするんだな…今日一日で、向こうの世界にいる時には見られなかった阿部さんが沢山見えたような気がする。
そんなことを考えていると、阿部さんがチラリと携帯を見やり、大声をあげた。
ab「あ、向井さんから返事きた！」
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
