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mg side
いまいちピンと来ない俺に、阿部さんが解説を入れてくれる。
ab「ほら、深澤さん小さい頃に誘拐されたことがあるって言ってたでしょ？その事件、当時の新聞に載ってるんじゃないかと思うんだよね。
図書館に過去の新聞の縮小版があるから調べられると思う。ちょっと骨は折れるけど、探してみる価値はあるんじゃない？」
なるほど。確かに時間はかかるかもしれないが、それでもやってみるしかない。
それに、最も残された時間の少ないであろう深澤さんに会えるのはありがたい。
「よし、やってみますか」
ab「ありがと。じゃあ早速行こっか」
俺の返事を聞くやいなや、阿部さんは笑顔でそう言うと、サッと伝票を取って立ち上がった。
「あの、」
ab「これくらい奢らせて。わざわざ会いにきてくれたんだし、これでも先輩だから」
「…ありがとうございます」
その姿があまりにもスマートでかっこ良かったから、思わず照れてしまったのは秘密だ。
大学へ戻り、阿部さんの案内で敷地の奥にある図書館へ歩を進める。
もう日も暮れかけており、あまり時間がない。
ab「事件が起きたのは、深澤さんが小学校に入ってすぐだったらしいから…1998年あたりか」
大急ぎでデータを引っ張り出し、地域面をひたすらめくる。しかし、なんといっても量があるから、そう簡単に記事は見つからなかった。
「ああっ、もう目がチカチカしてきた」
ab「大丈夫？休み休みでいいからね」
勉強嫌いで活字慣れしていない俺は早々に嫌になる。
しかし阿部さんは、俺を気遣いながらもページをめくるスピードが落ちない。
そこに、彼の普段の生活や姿勢が垣間見えた気がした。
俺は今まで、頭の良し悪しは天性のものと諦め、大した努力もしてこなかった。
でも彼はきっとそうではなく、家族のために、そして医者という夢のために、ずっと努力し続けてきたのだろう。
だからこそ、彼とお兄さんとの関係が拗れて事件が起こってしまったことが残念だったし、今度こそは皆で幸せになりたいと改めて思ったのだ。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
