死後の世界で出会った僕たちは2

感じるままに ページ48

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fk「ところでさ、俺にも聞かせてよ、2人の歌」
ab「俺も聞いてみたいなぁ」
kj「俺も俺も」
nb「…別にいいけど」

なんだか暗く固まった場の空気をほぐすように、何人かがそう声をかけてくれた。
しかし、翔太はそれらに肯定の返事こそしたものの、それっきり何故かフリーズしてしまった。

nb「…こういう振り方されると、何歌っていいかわかんない」
「確かに。うーん、何かリクエストある？」
fk「そりゃもちろん、2人の今一番歌いたい曲」

そう言って俺にウインクをかます深澤さん。
いや、そう言われましても…というか、何が「そりゃもちろん」なんだ？


やけに笑顔の深澤さんに戸惑う俺。
しかし一方で、今一番歌いたい曲というリクエストには、ひとつだけ心当たりがあった。

それは、翔太に2人で夢を追おうと誘われた、あの帰り道に歌っていた歌。
偶然にも、『たとえ絶望の中にいたとしても想いは奪われない』『ひとりじゃないから、悲しみも背負ってまたやり直そう』なんて強く前向きな歌詞が印象的な、あの歌。

それは色んな意味で、まだ真っ直ぐだったあの頃の俺たちを思い起こさせるような歌だった。
なんだか出来すぎたドラマみたいだけれど、この歌で翔太の心の奥にある気持ちが目覚めるかもしれない。
それに賭けてみようと思った。

どれだけ言葉を尽くしても、拗れてしまった俺たちの関係が戻らないなら、もうこれしか考えられなかった。
俺たちには歌がある。今こそ俺たちに、歌の力を…


「翔太、覚えてる？あの歌」
nb「うん、それがいいの？」
「うん」
nb「わかった」

そう言うと、翔太はゆっくりと目を閉じた。
そして、大きく息を吸うと、語りかけるように歌い始めた。

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