死後の世界で出会った僕たちは2

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ab side


もう少しだったのに。
目黒さんさえいなかったら、皆をこっちに引き込むことが出来たのに。
自分のことは何も語らないくせに、どうしてこういう時に限ってしゃしゃり出て来るの…

しかし、心の中でそんな悪態をつきながらも、気づけば兄との関係修復の可能性を考えているあたり、俺はまんまと目黒さんの術中にはまったと言っていいだろう。

もちろん、今のところそれを成功させる自信は全くないのだけれど。


そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、目黒さんはさらに言葉を繋ぐ。

mg「家庭の不和に気づかないフリをしたこと、後悔してたんじゃないんですか？それ全部、嘘だったんですか？」

ニヤリと片頬を上げた彼の笑顔には、余裕の色が浮かんでいた。それが何とも様になっていて、また俺の気持ちを逆撫でする。

「嘘じゃない…嘘じゃないけど…！」

みっともなく狼狽える俺を、目黒さんはそのまましばらく見つめていた。しかし、やがてクシャッと表情を崩すとこう言ったのだ。

mg「…ふはっ、冗談ですよ。阿部さんがそんな悪い人じゃないこと、みんなわかってますって。
貴方があんまり口喧嘩に強いんで、ちょっと困った顔が見てみたくなっただけです」
「え…？」
mg「ま、思いつきで喋ってこんなに上手くいくとは思ってなかったですけど」
「…そう」

本来なら、その言葉に安心すべきところだろう。
しかし俺には、むしろその崩れた笑顔の方が意図的に作られた偽物のように見えた。しかも、彼はその笑顔を作り慣れているとも感じた。
気のせいかもしれないけれど、それがなんとなく怖かった。

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