死後の世界で出会った僕たちは2

内に秘めた後悔 ページ4

mg side


それは突然やってきたピンチだった。
俺の真正面に座るラウールくんという高校生、彼は何者なのだろうか。


確かに、さっきから度々鋭い発言をしていて、すごい子だなあとは思っていたけれど、まさかここまでとは。
もしかしたら、自分自身がずっと中立にいる分、周りを誰よりもよく見ていたり、他の人が気づかないような小さなことに違和感を感じたりしているのかもしれない。

俺は正直頭の良い方ではないから、そんな彼に対して下手に言い繕っても墓穴を掘るだけだろう。
だったら残された道は…自分のこのキャラクターを生かして誤魔化すことだ。


「すみません。俺、この仕組みのこととか、皆さんのこととかまで頭が回ってなくて…
単純に、前の生活がそこまで嫌いじゃなかったような気がしただけです。確かに死ぬ間際のことは全然覚えてないですけど、それまでの記憶はない訳じゃないんで」

俺がそういうと、ラウールくんは「まさかそんな人がいるのか」と言わんばかりの顔をしたけれど、一応は納得してくれたようだった。

(そういうところが鼻につくんだよ…)
なんて思ってしまったけれど、もちろんそれは言わないでおくことにした。


そうこうしているうちに、彼の隣の深澤さんが援護射撃に回ってくれる。

fk「ふふっ、ほんと単純。
まあ、俺も人のことは言えないからね。なんの保証もないのに、絶対に病気を治して夢を叶えてみせるとか言っちゃってさ…
でもなんか、この9人一緒なら大丈夫なような気がするんだよね。相変わらずなんの根拠もないけど」

彼がそう言ってくれるのはありがたかった。
しかし同時に、こんなにもピュアで真っ直ぐな彼と、裏に黒い感情を秘めた自分とを比べて、少し虚しくもなった。

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