揺れる感情の狭間で ページ23
kj side
さて、そんなことを言っている間にも、話し合いは続く。
nb「阿部さんが俺みたいに、後先考えないアホだったらなー」
dt「そういう素直さは翔太の長所でもあるんだけどね。でも俺は、阿部さんが踏み出せない気持ちすごくわかるよ。俺も同じだったから」
ab「そっか…宮舘さんも、お母さんのこと、大変だったんだもんね」
dt「うん。やっぱり親に逆らうのって勇気がいるんだよね。例えそれがどんなに酷い親でも。
つい自分を守ろうとして、親に迎合することを覚えて、だんだん自分の人生を自分で選べなくなっていくんだ」
ab「おんなじだ、すごくわかる」
dt「でも、そんな中で、阿部さんがずっとなりたかった医者になったのって、凄いことだよね。結構本気で尊敬してる」
ab「大したことないよ。俺の夢が、たまたま父にも喜んでもらえる夢だっただけ。
宮舘さんこそ、勉強も運動もよく出来たらしいし、何にだってなれたんじゃないの？」
dt「俺は、何になりたいとか何をやりたいとか全然思いつかなかった人間だから」
そこで、彼はまたしてもこっそり渡辺さんを気にしたような気がしたけれど、今度は渡辺さんの方も知らんぷりを決め込んだ。
dt「…とにかく、俺が阿部さんに家での居場所をなくして欲しくないって思うのは、そういう意味もあるのかもしれない」
ab「そんなことを言ってくれる人がいるなんて、俺嬉しい」
同じような境遇で、どちらも落ち着いた性格ということもあり、共鳴し合う阿部さんと宮舘さん。
この場に2人が揃っていて本当に良かったと思う。
兄弟を見捨てたという罪の意識を共有出来る人なんてそうそういない。現に俺も他のみんなも、家族には恵まれていた。
だから、2人でこうして話したことは、きっとこれからの彼らの支えになる。
そうだ。「仲間」だったから、同じように苦しむ誰かを救ってあげられた。
いや、逆か。誰かが誰かを救えるように、「仲間」が作られている。
だとしたら、俺は誰を救えるのだろう。
罪を犯しておきながらこんなチャンスをもらったからには、せめて誰かの役に立ちたい。
しかし、俺には、まだ自分に救えそうな人の存在は感じられなかった。
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わかめ(プロフ) - y_さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。引き続き頑張りますのでよろしくお願いします。 (2020年5月28日 1時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
y_(プロフ) - 作り込まれた世界観でとても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2020年5月27日 18時) (レス) id: 80f4b74590 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふわふわさん» コメントありがとうございます。気に入っていただけて嬉しいです。席順は時計回りにfk→dt→kj→nb→mg→iw→ab→sk→ruになります。お話のキーになることはない予定ですが、一応この世界に来た順という裏設定になってます。引き続きよろしくお願いします。 (2020年5月24日 8時) (レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - お話のテイストが個人的にとても好きです。それぞれの出来事が複雑に絡み合っていく所に、どんどん引き込まれてしまいます…一つ気になったのでお聞きしたいのですが、9人はどういう順番で座っているんでしょうか？もし答えにくい質問でしたらすみません、、、 (2020年5月24日 3時) (レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - まるめさん» コメントありがとうございます。まさか一気読みしていただけるとは…！まだまだ至らぬ作者ではありますが、更新頑張りますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月22日 7時) (レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年5月18日 0時
