死後の世界で出会った僕たちは2

進まぬ作戦会議 ページ20

fk side


ab「はあ、わかったよ…じゃあとりあえず、考えるだけ考えてみてもいいけど。そのかわり、皆も一緒に作戦立ててよね」
ため息混じりにそう言った阿部さん。目黒さんの奔放な揺さぶりに負け、ついに協力する素振りを見せ始めたのだ。

しかし、発案した目黒さんは所詮部外者。
事件関係者にしたって、阿部さんの家庭の事情についてはさっき本人の口から聞いたことくらいしか知らない。

だから、具体的な方法と言われると、さっきまでの勢いは何処へやら。
みんなあまりいい案も浮かばず、途端に議論は滞ってしまった。


kj「上手く行かなくなったのは、大学受験がきっかけだったんですよね？」
ab「うん。でも、受かったところで、兄が心から喜んだとも思えないけど」
ru「何で？」

ab「だってあそこ、兄が望んで受けた大学じゃなかったし。それに、入学してからも、別に興味もない勉強が4年間続く訳でしょ。
俺は医者になるって目標があったから、勉強だってそんなに苦じゃなかったけど、兄は違う」

nb「多分、お兄さんというよりはお父さんにアプローチする方が正解なんだろうな」

dt「でもそれ難しくない？下手すると、阿部さん自身の居場所が無くなりかねない訳でしょ？」
ab「そうなんだよね…正直父に正面からぶつかっていける自信はないなぁ」

dt「それに、仮にそうしたとして、もしお父さんとの間に亀裂が入ったら、今度はお母さんが潰れそう」
ab「ああ、確かに…兄はもちろんだけど、父や母のことも気遣わないと上手く行かないのか」


やはり厳しいか…
しかし、事件を防ぐことが出来ないのだとすると、今度は生き返ること自体が不安視されてくる。

特に、元々反対派だった宮舘さんなんかは不安が大きいようで、心配そうな顔で阿部さんやみんなの様子を伺っていた。

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