死後の世界で出会った僕たちは (ページ49)

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ab side

どうしても生まれ変わる方を選びたい俺の意思とは裏腹に、みんな何となく生き返る方に傾いているような気がする。
向井さんなんてあからさまに投票先を変えてきたし…

このままじゃまずい。
だから、あちら側の筆頭格である深澤さんを揺さぶろうとしたのだけれど、今の話からして彼に寝返ってもらうのは相当厳しいように思えた。

それならば、取り敢えず今迷っている人達をこちらに引き込むのが先決だろう。

そう考えた俺は、今度はラウールくんに問いかけてみる。

「ラウールくんは？さっきからずっと、どっち側にもついてないけど。何を迷ってるの？」

すると彼は、一つ一つ言葉を選ぶようにこう答えた。

ru「うーん…向井さんにあれだけ発破かけてもらっておいて申し訳ないんですけど、僕やっぱり、諦めから抜け出せないんです。
生き返っても結局いじめは続くだろうって考えちゃってるし、かと言って、生まれ変わったらもっと状況が悪くなる可能性もある訳じゃないですか。
それって凄い賭けだなぁって思うし、そこまでの勇気があるかと言われると…」

そこで改めて気づかされる。
俺も、生き返ろうとしている深澤さんでさえも、生まれ変われば状況は今より良くなるものと信じて疑っていなかった。
しかし、それはあくまで可能性の話。別にそういう保証があるわけでも何でもないのだ。

ラウールくんはさらに続ける。
「それに、生き返ったとしても、生まれ変わったとしても、特にこれをしたいって思うことも見つかってないので、決め切れないんです」

しかし、先程の発見に気を取られた俺の耳には、後ろ半分の話はあまり届いていなかった。
何てことだ。揺さぶりをかけるつもりが、逆に俺の方が揺さぶられてしまっているじゃないか。