希望と不安 ページ48
fk side
dt「え、翔太なんで…?」
nb「涼太こそ」
再投票の結果にいち早く反応したのは、宮舘さんと渡辺さんの2人。
それもそのはず。全く部外者の俺でさえ、お互いの投票に違和感があるのだから、当事者同士は尚更不思議に思うのだろう。
ru「もしかして、お互いのためを思ってですか?」
dt「うーん、まあそうと言えばそうだし、違うといえば違うし…難しいな」
nb「何だよ、涼太もかよ」
dt「あ、翔太もなんだね」
kj「いやいやいや、2人で完結せんといて。全然わからん」
向井さんのツッコミに一同納得。
何やらこの2人は、2人だけにしか理解出来ない何かで通じ合っているらしい。
いや、この場合、通じ合えているというよりはすれ違っているのだが。
ab「深澤さんはご意見変わらずですか?」
一方、2人についての追及を諦めた阿部さんが、こちらに水を向ける。
「そうですね。やっぱり、色々心残りもあるもんで」
ab「そうなんですか…でも、生まれ変われば全くの健康な体が手に入るかもしれないのに」
「それも魅力的ですけど…誘拐から救ってもらった命なんだと思うと、このまま捨てるのはどうしても勿体なくて。それもあるかもしれないですね」
そう言ってしまってから、はっと気づく。今の俺の言い方、絶対に佐久間さんを傷つけた。
慌てて彼に目を向けると、案の定厳しい顔で拳を握り、気配を消そうとしている。
(すみません、佐久間さん…)
下手に声をかけて弁明するのも、じっと耐えている彼の気持ちを無碍にするような気がして、俺は心の中で謝ることしかできなかった。
そして、もちろん阿部さんも、ちょっと残念そうな顔をする。
加害者家族としての生活がどれほど辛いものだったのか、俺には想像もつかない。しかし、やはり相当精神にくるものはあるのだろう。
彼も彼で、生まれ変わりたいという意志は固いらしかった。
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年5月10日 14時