死後の世界で出会った僕たちは (ページ41)

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「ここからの話は、涼太にとってはショックかもしれないけど…」
dt「だから、気にすることないって言ってるでしょ？」
「…わかったよ」

涼太にそう促されて、俺は前置きもそこそこに再び昔話を始めた。

*********
それから数日後、火事で火傷を負って入院していた母の病室を訪ねた。

母は所々に包帯を巻いた痛々しい姿ではあったものの、意識もはっきりとしていて、思ったよりも元気そうだった。
しかし、ベッドのそばの椅子に腰掛けた俺に向かって彼女が口にした言葉は、信じがたいものだった。

『あら、お見舞いに来てくれたの。ありがとう、涼太(・・)』

そう、火事で涼太が亡くなり俺だけが生き残ったという事実を受け止められなかった母は、記憶のすり替えを起こしていた。
そして、亡くなったのは翔太(オレ)であり、目の前の俺こそが自分が可愛がっていた涼太であると思い込んでいたのだ。

もちろんショックだったけれど、それは同時に俺にとってまたとないチャンスでもあった。

このまま涼太に成り代われば、ずっと欲しくてたまらなかった普通の親子関係を、母からの愛情を、手に入れることが出来るかもしれない。
暴力に怯え、食べるものにも困る日々から解放されるかもしれない。

その誘惑に、俺は勝てなかった。
だから、精一杯の笑顔を作ってこう言ったんだ。

「そうだよ、母さん。入院なんかしちゃって、俺めちゃくちゃ心配したんだから」