死後の世界で出会った僕たちは (ページ38)

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『涼太、ただいま！熱はもう下がった？』

帰ってきた母が部屋の電気を付けたその瞬間…とてつもなく大きな爆発音があたりに響いた。
電気のスイッチの小さな火花が、コンロから漏れていたガスに引火したのだ。

家はあっという間に火の海となった。

『涼太、涼太…！』
母親の叫ぶ声が聞こえる。

少し離れたガレージにいた俺は、皮肉にも無傷で逃げ出すことが出来た。母も何とか近所の人に助け出されたようだった。
しかし、奥の部屋でずっと眠っていた涼太はすでに一酸化炭素中毒でやられて意識を失い、逃げるに逃げられなかったらしい。
おまけに、爆発の衝撃で折れた柱やひしゃげた扉が邪魔をして、助けにも入れない。

『息子が…息子がまだ中にいるんです！』
『行っちゃダメだ、危険すぎる！』

泣いて暴れる母をよそに、火はどんどん勢いを増していく。
俺は、真っ赤に染まって崩れていく家を、茫然自失で眺めることしかできなかった。

そして結局、涼太はもう二度と俺たちの元へ戻っては来なかったのだ。

********

「だからさ、涼太がここにいる原因は事故…っていうのは間違ってはないんだけど、その事故の大元は俺の不注意なの」

謝っても謝り切れることじゃないけれど、他にどうすべきかも分からず、俺は涼太に向かって改めて頭を下げた。

dt「そっか…でも、それで良かったのかもしれない。きっと、翔太に酷いことした天罰が下ったんだ」

しかし、涼太の反応は思っていた以上に静かだった。