死後の世界で出会った僕たちは (ページ36)

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そもそも翔太と俺は、元々は普通に仲の良い兄弟だった。年もほとんど同じだったから変な遠慮もなかったし、何よりユーモアセンスのある翔太と喋るのはすごく面白かった。
他にも、一緒にゲームをしたり、買い物に出かけたり、時にはお互いの友達を交えて遊んだり…
俺は新しい家族が出来たことが本当に嬉しかったし、翔太のことが大好きだった。

それなのに、父の死後、翔太だけが急に家族扱いされなくなった。
そしてその分、母は俺に執着するようになった。欲しいものは何でも買ってくれたし、色んなところにも連れて行ってくれた。

今思えばそれも、本当の親子愛ではなく、ただ俺をペットのように可愛がっていただけなのだけれど。

一方、食事もままならなくなった翔太は瞬く間にボロボロになっていった。
笑い上戸だったのに笑顔を見せなくなったし、体が辛いのか、学校の休み時間も机に突っ伏して寝ていることが増えた。
だから、次第に友達からも距離を置かれるようになっていった。

母も母で、そんな翔太の姿を見るとますます苛つくようで、翔太に対する要求や暴力は日に日にエスカレートしていった。

「ねえ、これ、翔太にも買って帰ってあげようよ」
『涼太は優しいわね。でも、あんな子のこと、あなたが考える必要なんてないのよ』

俺はというと、そんな風にやんわりと翔太を庇おうとしては失敗する日々を過ごしていた。
もちろん、翔太のことはすごく可哀想だと思ったけれど、俺には面と向かって母に抗議する勇気はなかったのだ。
だから、せめてもの償いのつもりで、母の目を盗んで食べ物を持って行ったり、殴られた傷の手当てをしたりした。

「翔太、これあげる」
nb「ん、ありがと」
「ここ、アザになってる。痛いでしょ？ごめんね、俺ちゃんと庇ってあげられなくて」
nb「大丈夫だから早く戻りな、見つかっちゃう」
「でも…」
nb「涼太までこうなったら困るから」
「…ごめん」

それでも、会いにいくたびに、翔太の方が俺を気遣ってくれたりして、俺は罪悪感に苛まれるばかりだった。