死後の世界で出会った僕たちは (ページ35)

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「本当にいいんだね？」
dt「ああ」

ラストチャンスと思って尋ねたものの、即座に返ってきたのは肯定の返事だった。
涼太がこうなったら、もう何を言っても聞いてくれない…こいつは昔からそうだった。
だから、俺も覚悟を決めたんだ。

「…どこから話そっか」

*********
涼太と俺は兄弟だった。

もっと正確に言えば義理の兄弟。
俺の実の母親は、俺がまだ小さい頃に病気で亡くなった。それで、数年後に父が再婚した時、相手の女性が連れていたのが涼太だったのだ。

でも、死んでしまった母が大好きだった俺は、新しく来た母のことをそう簡単には受け入れることが出来なかった。
事あるごとに反発して、最初は彼女も俺との距離を縮めようと頑張っていたけれど、そのうち諦めてしまったようだった。

父はそんな俺にも変わらず優しく接してくれたけれど、頼りだった父もしばらくしてこの世を去ってしまった。

彼女が本性を現したのはそれからすぐのことだった。

おそらく、懐かない俺のことを本当は疎ましく思っていたのだろう。もしくは、俺が次第に実の母親に似てきたのを嫌ったのだろうか。
真意はわからないが、とにかく彼女は実の息子である涼太ばかりを溺愛するようになり、俺は家族でありながらまるで使用人のようにこき使われるようになったのだ。

家族に話しかけることも許されず、一方で家事はほとんど押し付けられて、やり損なったりしようものなら拳が飛んできた。
時には着の身着のままで外に放り出されることもあった。

食事もみんなの残り物をたまにあてがわれる程度で、もちろん一緒にテーブルを囲むことなど出来るわけもなく、いつしか狭いガレージだけが俺の憩いの場になっていった。