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iw side
『若い男が次々と通行人を刺している』
そんな通報を受けて、俺は現場に駆けつけた。
現場はまさに阿鼻叫喚で、あちこちに傷を負った人が倒れていた。
「警察です!皆さん、早くここから離れてください!」
俺は必死で通行人に呼び掛ける。そして犯人と慎重に距離を詰めるが、暴れている犯人にはなかなか近づけない。
「ナイフを下ろすんだ!」
大声で叫ぶと、俺の声に気づいた犯人がこちらへ迫ってくる。勢いよく突き出されたナイフをすれすれで避けて、体勢を立て直す。
しかし、そこで一瞬気を緩めたのがいけなかった。
次に俺の目に映ったのは、俺の近くで動けなくなっていた小柄な青年に向かって、犯人がナイフを突き立てようとするところだった。
「危ない!」
そこからのことは、俺自身もあまりよく覚えていない。気がついたら俺の胸のあたりにナイフが突き刺さっていて、その側ではさっきの小柄な青年が泣きじゃくっていた。
犯人は、その後応援に駆けつけた警察官に無事取り押さえられたらしかった。
「大丈夫だから、泣かないで。君、名前は?」
sk「さ、佐久間…」
「そっか。佐久間くん、無事でよかった」
sk「ごめんなさい、俺のせいで…俺のせいで…!」
「佐久間くんのせいじゃないよ。ほら、君も早く病院連れて行ってもらいな、怪我してる」
sk「でも…」
「俺警察官だよ?強いんだから。だから絶対に大丈夫だからね」
俺がそう言ったところで、佐久間くんは通りがかった警察官に保護され、後ろ髪を引かれるような素振りを見せながらもその場を離れていった。
彼のためにも、そしてふっかのためにも、ここで終わるわけにはいかない…
しかし、その決意も虚しく、俺の意識は徐々に遠のいていった。
そして、気がついた時にはこの世界にたどり着いてしまっていたのだ。
*********
「とまあ、こんな感じなんだけど…」
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年5月10日 14時