赤×桃 ページ29
赤「…小瀧……」
桃「…お前さ、今幸せなん…?
こんなにボロボロになってでもこいつの隣におりたいの…?」
しげは黙ったままなにも話そうとしない。
桃「しげが幸せなら…俺はええよ」
赤「…違う……!」
しげは、男の顔を伺って、またうつむいた。
男「…大毅。もういいわ…。言いたいことあるんなら言って」
しげはゆっくり体を起こして、男の前に立った。
赤「ごめん…やっぱお前の気持ちには応えられん」
はっきりそう言った。
男は唇を噛んで、泣きそうになるのをこらえていた。
赤「ほんまにごめん」
男「謝んなよ…」
男は立ち上がって、しげと向かい合った。
じっとしげの顔を見て言った。
男「…俺最低だな。好きな奴こんな傷つけて」
その男はそっとしげの顔に触れ、抱きしめた。
怖いのか、しげの体は震えていた。
男「ごめん…今だけこうさせて」
しばらくたって、しげが口を開いた。
赤「俺…ずっと好きやった人おんねん。
そいつさ、いつも当たり強いし、なに考えてるか分からへんし、俺やってなんで好きなんか分からん。
けど、そいつといると幸せやなって思うねん。
俺は今でもそいつのことが忘れられないんや。」
しげの好きな人は俺じゃないかもしれない。
でも俺は自惚れてしまう。
もしかしたらまだ好きでいてくれてるんやないかって。
また名前を呼んで抱きついてきてくれるんやないかって。
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作者名:・み・ | 作成日時:2019年5月22日 12時