優しさには棘がある【赤】

棘……19 ページ19

ゆっくりとした足取りで


ひとまず、と
部屋を出た。




何も話さないまま、
階段を上がり



一つのドアを開けると


辺りは普通の家の中。






『今のは地下……ですか』



重岡
『…喋んな』


『…へ…』




重岡
『…黙ってこのまま…玄関まで』



『…はい…』






意味がわからないまま


私は先輩に支えられながら

歩き続け


玄関にたどり着き、

鍵をあけた…その瞬間、背後から







"待ってよ"




『え？』





そこに立っていたのは…




『小瀧先輩…？』




小瀧
『…約束破るの、なしでしょ、重岡先輩？』



重岡
『…っ』





小瀧
『話が違うじゃん。

…彼女を独り占めする気？


…元々俺らが交わした約束は
共有するってことだったはずやろ〜。笑』






なにがどうなって、、




隣の重岡先輩は表情を曇らせていて


やがて鬼気迫る表情に変わり


私を支えるように掴んでいた腰に
力を強める

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